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幸せの総量について -- 飛行機でキスされたこと

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飛行機で隣の女性に「席を替わってくれませんか?」と言われた。替わる相手は彼女ではなく、席がばらばらになってしまった恋人である。二列後ろに彼は座っている。こころよく、「いいですよ」と言った。一瞬、めんどうくさいな、と思った自分を発見するが、人が喜ぶことをしてあげるのはいいことである、と言い聞かせた。

替わってあげるために、席を移動すると、黒人のボーイフレンドは、とてもうれしそうに、英語で感謝を述べ、ぼくをハグして頬のキスした。このリアクションにはぼくも少しびっくりしたが、その様子が本当に幸せそうだったので、ぼくもなんだかうれしくなってしまった。ぼくは、「My Pleasure」と返事をした。

その飛行気で、ぼくはちょうど手塚治の『ブッダ』を読んでいた。良く生きる、ということをつきつめると、人のために生きることになるという。他人の幸せについて考え、自分がそれをしてあげる、それが自分の喜びにつながると書いてある。これはそういうことなのかな?

サンフランシスコから名古屋に向かう飛行機の中で、ぼくは、幸せというもののこの世界での「非保存則」について考えた。エネルギー保存の法則では、こちらが渡した分だけ、向こうが増える。つまりどこかでエネルギーが増えるとどこかでエネルギーが減り、世界のエネルギーを全部足すといつも一定だという。保存則に近いものとして、お金がある。全世界のお金の量は、やり取りの前後で保存される。この保存則だと、損と得は対になる。誰かが得をすれば、誰かが損をする。ぼくは席を譲って、損をしたのだろうか?いや、ぼくは逆にうれしい気持ちになった。

幸せに保存則は成り立つだろうか?たとえば恋愛をすると、あなたもわたしも幸せになる。
すなわち、世界の幸せ量は増える。逆に、減ってしまうこともある(喧嘩など)。幸せは、保存則には従わない。だとすると、幸せは多い方がいいのだから、世界の幸せが増えるように、自分が行動することは、意味があることだ。つまり、自分の幸せのために、
世界のほかの部分の幸せを減らすのではなく、世界のほかの部分の幸せを増やし、それが
自分の幸せにもなることがある。

My Pleasure は、何気なく出た言葉だったけど、「それは私の喜びです」ということだ。人の幸せが自分の喜びと思えること、これがそういうことなんじゃないかと思った。とっても小さいことだけど。

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