Impact Mapping
書籍、『Impact Mapping』を訳しました!
この本は、2012年のJolt Awardをとった"Specification by Example"を書いた、Gojko Adzic 氏の最新作なんです。
日本ではまだあまり知られていませんが、Gojkoさんは、アジャイル開発とビジネスの意図をつなぐ手法を啓蒙しています。
前作、「略称: スペック・バイ・イグザンプル」"Spec. by Example" では、「例(Example)」でもって仕様(Spec.)を記述することがテーマ。これによって、テストだけでなく、ドメインの言葉で開発とビジネスをつなげることを模索しています。ATDD(Acceptance Test-Driven Development)という言葉で語れていたものを、より具体的に書いた力作です。
そして、今回のこの本、『Impact Mapping』(インパクト・マッピング)では、さらに進んで(というか、シンプル化の道を進み)、マインドマップを使ってビジネス意図を表現することを提案しています。
簡単に解説してみましょう。
インパクトマップは、マインドマップの形をしていて、3レベル目までを使ってかかれます。ある製品(Webサービス)を開発するときに、これを書いて意図を共有するのです。
- 中心(WHY) = ビジネス目標。
- 第一レベル(WHO)=アクター。目標を達成するために、誰に働きかけるか。
- 第二レベル(HOW)=インパクト。アクターの行動をどうかえるか。
- 第三レベル(WHAT)=成果物。インパクトを得るための、製品の機能。
この順でマインドマップの枝を描きます。簡単に例を見てみましょう。オンラインゲームを開発しているとして、「プレイヤー数100万人」、という目標を立てたとしましょう。これを達成するために、誰に働きかけるか?これがアクターです。もちろん現在のプレイヤーの行動にインパクトを与えたい。その1つ、「友達を招待をする」という行動をとらせたいわけです。そこで、ソフトウェアの機能として、「セミオートの招待機能」という機能が提案されています。
このように、「ビジネスの目標」と「ソフトウェアの機能」を、「アクター」と「インパクト」を使って結んでいくのです。簡単でしょ?そして、これをワークショップ形式のファシリテーションで、ビジネス側と技術側で合意をつくれば、「どうしてその機能が必要か」という思いを、一体感を持って共有できる、というわけです。
以下の絵は、astah を使って描いていますが、ホワイトボードでも簡単に作ることができます。(上記の例を含む、astah professional 用テンプレートをここにおいておきます。ImpactMappingTemplate.astaをダウンロード)