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アジャイルに行こう!

Web 2.0 時代の開発手法(最終回)

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ITPro の連載が漸く終了した。ぼくの後を引き継いで精力的に書いてくれた懸田さんに感謝である。

特に、彼はTRICHORDという製品を開発しながら、それを分かりやすいコンセプトで表現する、という大きな命題を担ぎながらの連載だった。また、開発チームの開発手法も、ここで書かれている通りのアジャイル型のアプローチを採った。(しかし、これを「アジャイル」という欧米からのレッテルを貼るのを、最近どうかと思っている。)

最終回、とても印象的なしめくくりだったので、一部引用したい。

変化は,制御するべきものではない。その存在を受け入れ,うまくつきあっていくべきものである。もっと言えば,「味方につけるべきもの」とも言えるかもしれない。少なくとも筆者は,「変化」をそのようにとらえる必要があると考えている。

さらに、そこから日本人論を展開し、

自然と人間の関係を考えるに当たって,元々日本人は変化に柔軟に適応し,制御できない対象と折り合いをつけて共生するのが得意な民族であることを再認識した。Web 2.0時代に必要とされるのは,「抽象化された開発プロセス」だけではない。むしろ「個々のコンテキストに応じて柔軟に適応し,“変化を抱擁”できる開発に対する姿勢と行動」のほうが重要なのである。この点は,まさしく日本人の得意とするところであると思うのだが,いかがだろうか。

と結んでいる。まさに、このような姿勢がもしかしたら日本のソフトウェア開発に足らないものではないか、と思った。これを、「アジャイル」と言ってしまうとあたかも海外から来た手法のように思えるのだが、「個と対話」を中心にすえ、「行動してみて学ぶ」姿勢は日本の文化そのもののような気がする。

トヨタ生産方式や禅宗を引き合いに出すまでもなく、「日々の行動」から「意識と姿勢」を作り出し、そこからの「成長と共育」によって最終的な成果を創発する文化。それはとても日本的だと思うのです。

長い間、ご愛読ありがとうございました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061110/253350/

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