ノンラベリングのすすめ~今ここにいる自分の存在を信じること~
先日久しぶりに名刺のデザインを変更しました。
これまでは比較的シンプルな名刺を心掛けていたのですが、
仕事として行っている業種をできる限り入れてみようと思い立ちました。
すると、ズラズラズラっと入り切らないほど業種が並び、
名刺がテキストだらけになってしまいました。
入り切らないので幾つかは省略せざるを得ませんでした。
まあ、役職や肩書でいっぱいの名刺はたまに頂きますが、
業種がいっぱい書いてある名刺は珍しいかもしれませんね。
ところで、なぜこれまでは、
名刺にたくさんの業種を書き込まなかったかというと、
ただ単に名刺を渡す方へ印象を良くするためです。
あれもこれもやっているなんだかよく判らない人間は、
胡散臭くて信用に置けないというイメージがあるからです。
つまり、「私はこういうものです(キリッ)!」
と自分をラベリングをして紹介することにより、
初対面であっても、
お互いに安心して会話が成立することを狙っていました。
しかし、この自己ラベリング、
良いこともありますが、決してそれだけではないと思います。
医学界ではプラセボ(騙し薬・ダミー薬)と言うものがあります。
これは、なんの効用もないもので、
新薬の効果を正確に検証するため、本物の薬と比較する目的で使用されます。
ところが、最近はそれだけでなく、(嘘の)効用を伝えてプラセボを飲むと、
実際に症状が改善されることが報告されています。
つまり、成分が入っていないにもかかわらず、
本人が「薬を飲んだ」と思い込むことで、
心理的作用から実際に症状が和らいだり体が反応したりする現象がおこるのです。
これを「プラセボ効果」と呼んでいます。
つまり、
人間は簡単に騙されて、脳は提示された方向に働いてくれる
ということでしょう。
これを自己ラベリングで考えると、
「私はこういうものです!」と決めることにより、
自分で自分をその方向に導いてゆく効果があるということです。
例えば、
「私はリーダータイプだ」
「私は営業向きだ」
「私は分析力に優れている」
「私は勝ち組だ」
「私は才能にあふれている」
などとプラス思考でラベリングすると、
自らがそのように行動・志向し、良い効果が生まれてくるかもしれません。
また逆に、というかなぜか逆の方がたくさん思い浮かぶのですが(笑)、
「私は人見知りだ」
「私は機械音痴だ」
「私は運動が苦手だ」
「私は人前で話せない」
「私には才能がない」
「私は凡人だ」
「私は内向的な性格だ」
「私は出世など出来ない」
「私に幸運など来ない」
「私は病人だ」
「私は負け組だ」
「私はもう歳だ」
などとマイナス思考でラベリングしてしまうと、
おそらく碌な結果にはならないことでしょう。
かといって、無理に、
「私はまだまだ若い!」
「私にはまだまだ体力がある!」
「私は天才だ!」
などと唱え続ければ良いかというと、そうも思えません。
なぜなら、自分を騙そうとしている張本人もまた自分だからです。
鏡を見れば年齢は判ります。
階段を駆け上がれば体力も判ります。
これまでの自分の成績をみれば、天才かどうかは判ります。
つまり、脳のどこかでは現実をちゃんと理解しているのです。
ですから、「私は若い!」と唱えれば唱えるほど、
「いや、そうでもないだろう」という自分も同時に存在します。
また、無理にプラスのラベルを貼ろうとすると、
今度はそのラベルを維持するために疲れてしまいます。
つまり、マイナスのラベルは人を縛りますが、
プラスのラベルもまた人を縛ることがあるのです。
では、結論的に、
どのような自己ラベリングをすればいいのでしょうか?
私は、そもそもラベルを貼らない方が良いと思っています。
つまり、ラベルを貼ることそのものをやめてしまうのです。
「ノンラベリング」です。
若くもない
老いてもいない
成功者でもない
もちろん失敗者でもない
リーダーでもない
凡人でもない
ただ、今ここにいる自分の存在を信じることです。
人が最も力を発揮するのは、
自分が何者かを忘れて没頭している時ではないでしょうか。
自分が夢中になれる時間を作ることこそが大切ではないでしょうか。
さて、最後に名刺の話に戻ります。
時代は変わるものです。
色々な業種が書かれている私の名刺に、
それだけで興味を示す人が増えてきました。
昔なら「何屋だお前は?」と言われたでしょう。
今は「面白いことを色々やっていますね」
と言われることが増えました。
よい時代になったものです。
では、最後に私の名刺を貼り付けておきますね。