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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

デスマーチが奪うものとは何か?

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プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。

「仕事において最も恐れるべきものは何か?」

そう聞かれたとしたら、私は即座に「思い込み」だと答えます。そして、思い込みの中でも最も怖れるべきは、「失敗を失敗だと思わない」ことです。

■ 深夜残業、休日出勤はふつう?
セミナーやコンサルティング先で、色々な立場のエンジニア、プロジェクトマネジャーと話をしますが、話をしていて違和感を覚えることがあります。それは「失敗が当たり前になっている」人や組織が、けっこうあるということです。

それは例えば、
「納期は遅れるものですから」
「不具合はそれぐらい出て当たり前でしょ」
「休日出勤なんて普通でしょう」
という言葉となって現れます。

確かに、ITプロジェクトでQCDを満たすことのできるのは「31.1%」という調査結果もあるくらいですから、「QCDを満たしたことがない」という人が多いのもうなずけます。

しかし、毎日深夜まで残業をして、休日も出勤、盆も正月もゴールデンウィークもない、それでもスケジュールに間に合わせることができずに、不具合は出続けて止まらない。こういった状況を「ふつう」だと思っている人が少なからずいるのです。

■ 失敗しか、したことがない
プロジェクトが火を噴く組織というのは、恒常的に火を噴いています。一つのプロジェクトが火を噴けば、次のプロジェクトに影響します。納期遅れ、不具合の多発といった現象は、プロジェクトを超えて連鎖します。

そのため、その組織でしか仕事をしたことがない人は、それが当たり前になってしまいます。それが「業界の常識」であり、「そういうもの」だと思い込んでしまうのです。

デスマーチが「当たり前」だと思ってしまったら、そこから「よくしよう」と考えることができなくなります。デスマーチは、人間の向上心すら奪ってしまうことがあるということなのです。

■ 「当たり前」から抜け出そう

現場で苦労されているみなさんに、まず知っていただきたいのは、毎日続く深夜残業、休日出勤、それでも間に合わないスケジュール、いつになれば落ち着くかわからない不具合、これらは当たり前ではないということです。

上手くやる方法はあるのです。プロセスの品質を高め、プロジェクトマネジメントでリスクと不確実性をコントロールすることで、プロジェクトは混乱することなく、収束できるのです。

方法を探し、それを手に入れるには、まず「現状が当たり前ではない」と認識するところから始まります。

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