ワークプレース変革の好機「未来志向のWindows XPサポート切れ対応」(6)
ようやくWindows 8.1がWindows 8ユーザー向けに配布されるようになった今日この頃です。IE11が搭載されているとのことです。IEは企業ユーザーをおいて、突っ走っていますね...。OSとの依存関係が強いIEは、ますますシェアが低くなりそうな気がします。
さて、前回は、移行対象のアプリケーションを稼働させるデスクトップ環境について、その要素の選択に関する考慮事項を見てきました。
今回から、アプリケーションを稼働させるための対応策を検討していきます。
アプリケーションの稼働に関する対応策検討ステップ
移行対象のアプリケーションを新しいOS環境で稼働させるためには、次のステップが考えられます。
- 次期デスクトップOS上における稼働検証 (NGなら次ステップへ)
- OSの互換モード利用 (NGなら次ステップへ)
- アプリケーション切り替え (NGなら次ステップへ)
- アプリケーション改修 (NGなら次ステップへ)
- 仮想環境における稼働
それぞれ、作業負荷が低い順に並べています(但し、アプリケーション改修はその規模による)。
「1. 次期デスクトップOS上における稼働検証」は、Windows 7などの新しいOSにとにかく導入を試みて、稼働させてみるという内容を指しています。単純な話です。まずは、やってみよう、ということ。ここで、稼働しない場合は、2.,3.,4.,5.のいずれかの対応を取ることになります。
OSの互換モード利用
「OS互換モードによるアプリケーションの稼働」は、Microsoft社が提供する機能の一つです(参考:「~小規模 (手動) 移行~アプリケーション互換モードとは」)。Windows 7, 8において、下位バージョンのOSの挙動をエミュレートする機能があり、実機による稼働検証で稼働しなかったXPアプリを稼働させられる場合があります。 特に次に挙げる原因で稼働しなかったXPアプリに有効です。
- OSバージョンのチェックによるもの
アプリケーションやドライバーによっては、Windows OSのバージョンをチェックして、指定したバージョン以外では動作しないようにしている場合があります。APIの互換性問題や、想定外のOSにおけるユーザー・サポートに関するヘルプデスクなどの負担を軽減するなどの理由によります。
- ユーザーアカウント制御 (UAC) によるもの
Windows 7におけるアプリケーションの実行は、標準ユーザー権限で行われます。そのため、管理者権限がないと使用できない機能をアプリケーションが利用するときは、ユーザー・アカウント制御(UAC:User Account Control)により許可ダイアログが表示され、管理者に昇格することが求められます。そのため、ユーザーとの対話なしで実行されるよう設計しているXPアプリは稼働しない可能性が高いです。
インストールはできたけれども、稼働しないアプリケーションについては、まず、互換モードの利用を試すことをお勧めします。
アプリケーション切り替え
「アプリケーション切り替え」は、このステップの中では消極的なアプローチに見えるかも知れません。それでも、前述の互換モードにより、既存のXPアプリが稼働せず、また、そのXPアプリへの依存性が低い場合には、Windows 7/8対応のアプリケーションにバージョンアップする、別製品に切り替えるという対応が考えられます。
ただし、ユーザーへのトレーニングなどのユーザー・サポートの増加を想定しておく必要があります。
なお、Windows 7/8におけるアプリケーションについては、「Windows 互換性センター」にて確認することが可能です。
(補足)Microsoft社Officeのバージョン選択
Windows XPと同様にMicrosoft社のサポートが切れるOffice 2003ですが、その移行先のOfficeは、いわゆるパッケージ版とクラウドサービス版が考えられます。
前者はOffice 2010, 2013が候補となります。後者は、Office 365 ProPlusになります。「Office 2003のサポート終了に伴い、クラウド版Office 365 ProPlusへの移行相次ぐ」という記事もありますが、外部のクラウドサービスに重要なデータを預けることをセキュリティ上許可できない企業も多いかと思います。ただ、デスクトップOSに依存する割合が低いことは、今回のテーマのような移行時の作業負荷が低いことを意味するため、検討する価値は大いにあります。
新しいOfficeに移行する際は、次の点に関する方針を決定する必要があります(参考:「Microsoft Office 2010 ホワイト ペーパー」)。
- 32ビット版/64ビット版の選択 (64bit版では32ビット版のActiveX コントロールと COM アドインが動作不可など。一部のVBAも同様)
- 利用するエディション、アプリケーション、および機能の選択
- 旧バージョンとの共存、混在環境での利用方針
- 以前のバージョンのユーザーと共有するファイル形式の検討
- マクロ改修(Office 2013におけるAccessのADPサポートなし、など)
実は、Officeの移行の際に、最も大きな障害となるのは、ユーザーインタフェースの違いかと思います。私はリボンと言われるインタフェースの作りは醜悪だと思います...。このリボンへの慣れが何よりもユーザーに取っては重要になるでしょう。
なお、ライセンスの購入形態でPCに付属するOEM版を購入すると新規PCへの移行時などに転用ができないため、注意が必要です。
次回は、アプリケーション改修に役立つツールや仮想化によるXPアプリの稼働対応について見ていく予定です。