ワークプレース変革の好機「未来志向のWindows XPサポート切れ対応」(3)
前回は、Microsoft社によるサポート切れの影響を見てきました。しかしながら、サポート切れになるのは、Microsoft社製品であって、同時に利用しているソフトウェアはただちにサポート切れを迎えるというわけではありません。
特に、ウィルス対策製品は、2014年4月9日以降も多くの製品でサポートが継続されます。したがって、セキュリティ上、突然無防備になるわけではありません。
ただ、久しぶりに電源を入れた端末など、最新のウィルス定義ファイルに更新されていない状態では、OSのセキュリティ・ホールを突くワームなどの攻撃に脆弱です。そのような観点からも、ウィルス対策製品ベンダーは、新しいOSへの移行を推奨しています。
図 各ウィルス対策製品のXPサポート期間
- トレンドマイクロ株式会社「エンドポイント製品WinXP対応」
- 株式会社シマンテック「Windows XP サポート終了に伴う Symantec Endpoint Protection ( SEP ) の対応について」
- マカフィー株式会社「マイクロソフトでの延長サポートが終了する2014年4月以降のWindows XP SP3サポート体制につきまして」
なお、Google Apps, SkyDrive, Salesforceの提供するサービスは、すでにIE6のサポートを打ち切っています。(Google AppsはすでにIE8もサポート終了!)
XPサポート切れを控えた今、行われていること
Windows XPサポート切れという課題に対して、自社環境ではセキュリティ・リスクが低いことからXPを使い続けるという判断をする企業もあります。これは、インターネットにネットワーク接続していない(インターネットを利用していない)ので、外部から攻撃を受ける可能性が低い、といった理由によるものです。
すでに、現運用においてセキュリティ・パッチやウィルス対策を実施していない企業もあります。きちんとリスクアセスをした上で、他の対応策によりリスクを低減しているのであれば、このような対応も十分に考えられます。
ただし、従業員に対して、新しいITサービスを提供する際、また新規にビジネスを開発するには障害となります。イノベーションは最新のテクノロジーを活用するところから生まれやすいはずです。したがって、ここでは、対応をするという前提で話を進めます。
この場合、各企業はOS移行に際し、次の段階を経ることになります。
- 現状調査
- 移行計画策定
- (必要であれば)アプリケーション改修
- 新しいデスクトップOS展開
- 移行完了
実は、Microsoft社から「Windows XP、Office 2003 サポート終了の重要なお知らせ」というページで9-10月:事前評価〜3月:安定稼働の判断、というスケジュールで4月9日に間に合わせる移行プランが紹介されています。
ここには、アプリケーション改修の視点が入っていないようです。すでに10月を迎えた今、ごく小規模な環境でなければ、4月9日に間に合わせるのは厳しい状況だと言わざるを得ません。
現状調査段階における移行対象アプリの確認
今更言うまでもないかも知れませんが、出荷時の状態でPCを業務にそのまま利用できることは稀です。つまり、PCを単純に入れ替えるだけでは解決しません。
通常は、業務用アプリケーションを導入してデスクトップ環境を整備します。そのため、移行先においても、業務用アプリケーションの稼働や業務システムを利用できることが大前提となります。
したがって、現状調査において、移行対象アプリを確認することがすべての計画の礎となります。アプリを移行できていない状態で、新しいOSの導入された端末が展開された場合、ユーザーは2台の端末を利用し始めることになります。ネットワークのポートやIPアドレス、スペースの問題が起こり、二重運用は誰もが避けたい事態となるでしょう...。
では、どのような観点でアプリを選定すればいいのか。次回は、移行対象アプリ選定の話を進めます。