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KKD(勘と経験と度胸)とデータという客観的な切り口のバランス 〜マーケターの戦略/戦術の棚卸し〜

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 今日、とある製品に関するアンケートのデータを眺めていて、気になったことがありました。デリケートでもあり、具体的な部分に触れることはできないのですが、実際の使用感を通じて、いくつかの小項目を設定し各小項目についての評価をヒアリングしたものですが、さらに、アンケート設計の段階で、それら各小項目に応じて、選定に対する重要度も評価してもらうようにしておきました。つまり、「小項目」に対して、「評価」と「重要度」を聞いています。

 無論、簡単な属性情報もアンケート項目としていますが、とある属性にて顧客を2グループ(グループAとグループBとします)に分類してのクロス集計をしたとき、これまで私たち(少なくとも私)にて、強みだと思っていた項目が、あるグループにて支持されていない可能性を示す示唆がありました。しかも、その小項目は、お客様にとって、選定において「重要度が高い」とされるものでした。

 この「小項目」は、5段階にて評価してもらうように設計してありますが、同小項目はその他に設定した他の小項目と比較して、グループAとグループBにて2ポイント近くの差がありました。たしかに、アンケートの母数も十分とは言えないのですが、この開きは、私自身は少しというか、かなり気になりました。(もはや、検定いらずのレベルの有意差と言えそうでした・・・)すぐに、製品関連のメンバーにはレポートとして、少しまとめてメールはしました。

 折角、エネルギーを割いて作成したアンケートも、集めて終わりの場合も少なくないかもしれません。「よい」・「わるい」、「不満」・「満足」を点数化して、平均点を出して、自分たちを納得させる材料にするには、アンケート設計者のみならずアンケートへ協力いただいた方の折角のご好意も無駄になってしまうかもしれません。

 ただですら、コンシューマー向けの大衆消費財ではない商品の場合には、お客様のお声(情報)の吸い上げは難しいことは多くの方が実感されていることと思います。営業やエンジニアが直接、お客様と触れて得られる肌感から察することは、とても重要なことだと思います。IT製品のみならず、どんな財やサービスでも、お客様の仕草/表情/言動から得られる情報は極めて大きいと思います。

 しかしながら、時に数値として客観的な指標として示される情報、つまりデータをもって、切り刻んでいくことも、勘と経験と度胸に代表されるKKDからの脱却には必要かと思います。

 大手企業では、マーケティング部門が、SPSSやJMPなどに代表される統計ソフトにて統計処理やマイニングに没頭し、新たな示唆を与えてくれることでしょう。一方で、中小企業にて、それら高度な統計ソフトの使いこなしが必要かと言うと、そうではないと思います。

 クロス集計などは、表計算ソフトで十分可能です。例えば、エクセルであれば、ピポットテーブルが少し使いこなせるだけで、アンケートから得られる示唆の濃さは多いに変わってくることでしょう。(時に、エクセルをワードなどのようにワープロソフトとして用いている方を見ると、残念に思います。)

 とりわけ中小のマーケターにとって、データ優位主義者になる必要はないと思います。ただし、定性的な情報をよりどころとしたKKD(勘と経験と度胸)に依存する傾向が高くなっていることも事実かと思います。時に、データという視点を借りることで客観的な切り口をもって、自身の戦略/戦術の棚卸しをすることは、決してマイナスにはならないと思います。これらが、サービスサイエンスの一歩にもなることと思います。

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