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メーラーをモニタリングし続ける無能さ 〜必要なことは分けること〜

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 数年前だが、常勤ながら夜間に大学院に行っていた。多くの仲間は必要な単位数を確保すると、講義を履修しなくなってしまうが、自分の場合は貧乏性なのか欲張りものなのか、2年後期になっても履修していた。

 当時の職場は、技術営業的なミッションにて、オフィスにて顧客対応する場合もあれば、既存顧客や新規/見込み顧客のサイトに訪問しての技術対応、プレゼンテーションなど、日によってまちまちであり、また移動時間も多かった。無論、前日に客先訪問が決まることもある。

 客先への移動の時間、例えば、新幹線・東京〜名古屋であれば、2時間弱の時間が得られる。当時、N700系が出たての頃で、車内でのネット接続はほぼ不可能である。が、むしろ、この環境がちょうどよかった。
 東京駅のホットスポットで、メールを受信しておき、新幹線に乗り込む。新幹線の高速走行中には、メールが受信できず、逆に邪魔されることはない。顧客・メンバー・関係担当者へのメールの返信を書きまくり、送信ボタンを押しておく。名古屋駅に着いたら、同様にホットスポットに行きネットに接続してメール送信を確認すれば、庶務は終了となる。

 在来線など細かな移動時には、本を読んだりして大学院の講義の予習をしておく。帰りも、夕方に新幹線に乗れば、最悪でも2限目(20時過ぎ)の講義には余裕で間に合う。顧客・メンバーへのメール対応も、行きと同じように対応すれば、まったく問題もなく、コミュニケーションが取れた。顧客からの評価も”レスが早い”と評価を頂いていた。

 スピーディーなメール対応のために、常にメーラーをモニタリングしている必要はなく、むしろ、顧客やメンバーなど相手が許容できるレスポンス時間より、若干早いタイミングで対応すれば、相手の要求に応えていることになるだろう。

 逆に、スピーディーなレスを要求する場合には、コミュニケーションの手段を分ければよいだけである。例えば、当時は、概ね携帯メールはスピーディーな対応を期待するものとしていた。メンバー間にて、顧客からの急ぎの場合も取り次いだメンバーが担当者の携帯にメールして、”即レスお願い”と伝えればいい。

 レスポンス時間の粒度が混在している状況下、もれなく対応するために、常時メールを監視することが生産性の高い仕事の仕方とは思えない

(製造工程で考えれば、歩留まりほぼ100%の製品と歩留まり50%程度の不良交じりの製品を、最終の検査工程に流し、良品率をあげるために全数検査をしているようなものである。検査工程のラインも分ければ、全数検査すべきラインと、抜き取り検査なり検査工程を軽減できるラインを分ければいいだけである。)

 「メールのレスは、早くして!」と、部下やメンバーに闇雲に要求することは、メンバーのケイパビリティ(Capability)を、活かし引き延ばすことにはならないように思える。
 中には、「対応モレをなくすために、携帯メールへの転送もするようにします!」など、言い始めたら、むしろ現場を混乱させるだけだろう。

 必要なことは、増やすことではなく、分けることである。

 受け手が判断しやすいように、指示/伝達の仕方を分けることで、組織としての生産性も向上することだろう。

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