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デジタル家電にみる原産地効果(Country of origin)〜気にしない人・気にする人〜

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 購入した後に、あっさり壊れて使い物にならなかったりすることもある。買った値段と照らし合わせながら、”まぁ、しょうがないか〜”と思いながらも、製品の裏やパッケージを見て、”どこで作ってんだよ〜”と、「MADE IN ○○」の文字を探すこともあるだろう。
 「○○産じゃぁ〜しょうがないね」「○○国で作ってんのにな〜」とメーカーはもとより原産地で、なんとなく一定の判断なり印象を持ってしまうこともあるだろう。

 消費者の主観的なカントリー・イメージにより、その商品の評価に影響をもたらす場合がある。「原産地効果」(Country-of-Origin Effects)とされるこの効果は、マーケティングでも時に用いられる。

(昨今のとりわけ農産物への風評被害は、ある意味でこの原産地効果(COO)の影響を受けてしまっていると言えるかもしれない。地域ブランディングと原産地効果について今回は深く言及しないが、十分安全性が確保されている食品等への購買行動は、まさにエスノセントリズムで支え合いたい。)

 国際分業化が進み、COOについても素材/部品の原産地から、本社の所在地、組み立て工場の所在地など、原産地効果(COO)も様々な次元で捉える必要が出てきているようだ。また、実際に財やサービスの選好と実際の購買行動は異なる面もあり、細かな議論をするときりがない。

 堅い内容になってしまったが、原産地効果の研究で電子機器が触れられていたものがあったので、読んでみた。(「消費者のカントリー・オブ・オリジン情報処理」李(2007)『経営論集』70号)

 この研究では、原産地効果・COOの情報を、部品原産地と製品原産地に分け、デジタル家電を想定して製品知識水準による違いを調べている。要するに、製品(群)に詳しい人たちとそうではない人たちで何か違うか?ということだ。

 同調査では、COOの情報以外にもブランドや価格などのファクターにて約700人ほどを対象としている。統計処理の結果、案の定、ブランドによる影響は大きいもの、次のような知見が得られたようだ。

 製品の知識水準が高い人は、組立原産地を気にしない傾向が見られ、同様に、製品知識が疎い人は組立原産地を相対的に重視する傾向があるとしている。

 これは、製品に詳しい人たちにとって、もはや組立工程そのものは製品に大きな影響を及ぼすファクターになり得ていないというマーケティング面からの一つの知見とも言えるかもしれない。電子機器において、国際分業化が進み、ファブレス化となろうともメーカー(ファブレスなのに、メーカーなんてちょっと面白い)は消費者の支持を受けるのである。

 次回は、そのあたり、もう少し、別の角度で触れてみたい。

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