茨城空港で思ったこと 〜空港カボタージュの部分解禁〜
昨日、修士課程向け講義にて県内いくつかの企業や施設の見学ツアーがあり引率応援でTA(Teaching Assistant)として参加した。訪問企業の詳細は控えたいが、最後の訪問先は、昨年開港した「茨城空港」であった。
空港到着が若干遅くなったこともあり、札幌からの便の着陸は見れず、やや残念。展望デッキからざっと眺めて、ご担当者様からの説明を聞いた。
茨城空港の経緯は、自衛隊の百里基地の民間共用利用の模索からスタートしている。茨城空港利用促進等協議会ホームページによると、総事業費約220億円の内、茨城県の負担は70億円で国の負担が約2/3となっており、他の地方空港とは異なり、国営空港の色合いが強い。事業費配分から鑑みても、国営空港であり、負担は国土交通省だが、所有権、管理権は防衛省とややお国の事情と県の思惑が一致しての背景があるようだ。
開港時には、定期就航はソウル便のみと国内線のない地方空港であったが、2011年2月現在は、ソウル便に加え国内3便(神戸、札幌、名古屋)が毎日、上海1便が週3となっており、GWなどにはチャーター便が運行された。
マレーシアあたりのLCCの就航の話が以前から聞こえてきたが、なかなか就航にこぎ着けない。理由は定かではないが、空港の滑走路の事情にも関連する様子だ。この茨城空港だが、滑走路は小型機から中型機を想定した舗装となっており、LCCといえども大型機の発着、特に離陸には適さないとのことだ。着陸時は燃油も使い果たしているため機体も軽いく影響は少ないようだが、離陸時には燃油の重量も影響し、離陸の頻度によっては滑走路が保たないらしい。なんと、貨物機の利用についても同様の理由が影響するらしく、前述の利害あっての船出と言えども、国土交通省『平成8年運輸白書』でも当時航空貨物輸送の増加が顕著であったことをしてしており、もう少しなんとかならなかったものだろうか。
もはやあるものに、水を差しても無駄であり建設的な検討をすべきだろう。
国内航空会社にはもはや期待できない。また、第三セクターとしての航空会社の例もあるようだが、鉄道やバスなどを鑑みても交通インフラの第三セクター方式については、『第三セクター等の状況に関する調査結果』を見ても、運輸に関しては黒字と赤字の両極端となっており、かなり博打的な側面もあるようだ。
茨城空港利用促進等協議会によると利用者の6割は国際線とのことだか、航空機利用者については、なんと茨城空港から東京駅まで500円で直行バスに乗れてしまう破格の設定もあり、ソウル、上海からの利用者は茨城県を素通りして都内に出てしまうというなんとも悲しい事情もあるようだ。
LCCへの期待も、豪州など遠距離の便は前述の理由で困難であり、ささやかれるエアアジアX(エアアジアは旅行でタイ国内移動で利用したが安く快適でよかった)も昨年末に羽田への就航となったこともあり事実上、近隣諸外国、要するに韓国、中国、台湾、香港からの乗り入れへの期待となるだろう。
公共交通政策については、全くの素人にて、的を射ていないと前置き(エクスキューズですみません)しておきながらも、国内線の定期就航については、関空でも一度議論された、航空カボタージュの部分解禁について検討してもよいのではなかろうか。航空カボタージュとは、外国航空機への自国の地点間の貨客積み込み/積み下ろしを禁止である。例えば、アメリカ籍の航空機が、ロスを出発し、札幌に着陸し、以降、羽田、名古屋、大阪と着陸し、各々国内間の旅客/貨物輸送を認めるとするものだ。
無論、安全性の問題、外国籍の旅客事業者の参入に対する抵抗もあるだろう。また、程度の問題もあるだろう。が、交通は端末接続がその利便性に大きく寄与しているとも言えるはずだ。
はっと気がつくと、空港館内の照明が落ちてきた。時間は午後6時過ぎだった。どうやら、離発着もないので閉館(閉港)らしい。警備の方に見守られながら空港ターミナルの外に出た。ターミナルに隣接する無料駐車場には多数の車が駐車されたままであった。茨城空港の夜は早かった。