「何が言いたかったんですかね・・・?」と陰でボヤかれない簡単なコツ
大切なお客様の貴重な時間をいただいてのプレゼンテーションで、メッセージに込める情熱は必要だろう。仕事に熱意は大切な要素の一つである。
「ご導入/ご採用いただければ、プロセスの効率によるコスト削減による生産性は向上し、顧客への機会損失の最小化による更なる売上げ増加の期待でき、当然、セキュリティも万全で・・・」
と、あれも出来ます、これも出来ますとプレゼンテーションの資料には○印と赤の太字だらけになっていないだろうか?(時に、アニメーションだらけで、見ているのも疲れてしまう残念なプレゼンもある。)
詰め込み過ぎると、何が言いたいのか、よくわからなくなってしまうことがある。折角の機会を無駄にするほど、大罪はない。
無論、社内の会議/打ち合せで確認する意思決定についても言える。
「Aをしますが、決してBは捨てません。状況によっては、Cも考慮にいれています。」
その後、突っ込みへの返答で
「当然、Dも忘れていません!」
結局、どのような意思決定かよくわからない事態は、同僚や上司の貴重な時間を奪うだけではなく、むしろ会議/打ち合せをしたことで、ますます混乱することにもなりかねない。(”最終的にどうすんのよ〜”)
今日もまた、チップ・ハース、ダン・ハースの『アイディアのちから』を参考にして、ここでちょっとした実験をしてみたい。これも、自分でもやってみたが、まんまとハマってしまった。
今回は、紙や鉛筆は不要(あってもいいが)である。時計はあったほうがいい。
では、開始です。
質問1 次の文字を全て、頭で10秒間で覚えてください。(メモはダメ!)
10秒経過したら、画面から目を離して、思い出してください。
何文字思い出せるだろうか?全部で29文字もある。全て覚えるのは非常に困難だろう。
覚えようとしても、覚える事は実に難しい。
では、再度、挑戦してください。(今回も、下に記してある。)
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質問2 次の文字を全て、頭で10秒間で覚えてください。(メモはダメ!)
今回はどうだろうか? ひょっとすると、10秒は多すぎるかも知れない。
人の記憶は、Working Memory / Short Term Memory / Long Term Memory の3つにフェーズがあるとの説がある。記憶の定着期間/量が短く瞬発力を持つ Working Memory も一定の上限がある。多くの方が知っているであろう、マジックナンバー7(±2)も、この Working Memory に対応するものであり、記憶は、集合/固まりであるチャンク(chunk)にすることで、その負担は一気に軽減される。29文字の情報量は、企業名にすることで4チャンクになり、Working Memoryの負荷を減らし、より定着期間/量を増すことができる。
つまり、想起しやすいシンプルなメッセージに絞り込むことは、メッセージを「単純明快」なチャンクに変え、聞き手の記憶定着を促すのである。
某牛丼屋チェーン店のキャッチと言えば、「はやい、うまい、やすい」とすぐに想起する方は、多いだろう。が、実は、「うまい、やすい、はやい」と優先順位を強く意識した並び替えをして、既に10年以上が経過しているが、今もなお「はやい、うまい、やすい」と思い起こす方が少なくない点は、メッセージの「単純明快」さであるが故の該社の課題でもあろう。
私自身であるが、プレゼンテーションや社内ワークショップでかなり意識している点は、要所要所にて、「簡潔なキーワード」を掲げるようにしている。
プレゼンテーションでも会議でも、自身が発するメッセージは、最後でもよいので、「単純明快」さをもつキーワードで締めくくるのも、悪くはなかろう。