「何かないでしょうか?」から突破口が見いだせない本当の理由
この時期、年度末も近くなると、「日々、お困りのことも多いかと思います。何かないでしょうか?」(何でもします!)と、顧客訪問しての最後のお願いもピークとなるだろう。
往々にして、「そうですね・・・困ったら、連絡します・・・」のパターンである。熱意、提案力、企画力もあるだろう。
しかしながら、チップ・ハース、ダン・ハースの『アイディアのちから』を参考にして、ここでちょっとした実験をしてみたい。自分でもやってみたが、結構面白い。
まず、紙と鉛筆(書くもの)を用意したほうがいい。そして、時計を手元におく。では、開始です。
次の質問について、15秒以内で回答してください。
質問1 「白いものを思いつく限り書き出してください」
何個書き出せただろうか? 突然言われると、結構、書き出せないものである。
次に、紙を裏返しにして、質問2に行きたい。(質問2が見えると面白くないので、ちょっと無駄かもしれないが、下のほうに書いた。)
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では、質問2です。
質問2 「白い食べものを思いつく限り書き出してください」
すると、どうだろうか? 結構、出てきたりしないだろうか?(少なくとも、私はじゃんじゃん出てきた。)
この実験、職場の同僚同士で、口頭でやってもいいかと思う。一人が時間を測り、相手に口頭で言ってもらうのである。
「白いもの」が「白い食べもの」になっただけで、思いつく対象が増加(場合によっては、激増)する。これは、脳が検索にあたり対象の焦点を絞り込むからとハース兄弟は示している。
私の勝手な解釈をするのであれば、脳が事象の検索をするにあたり、焦点を絞り込むことで検索範囲が限定されることで、限定しない場合と比較して相対的に個々の事象の粒度(もしくは鮮明度)が高まり、ヒットレートが上昇するのであろう。
私自身、度々顧客訪問していた時期(最近はあまり訪問していない)に、システム提案した後に「特に、○○が○○するようなケースでいかがでしょうか?」、「例えば、同業他社様の事例で、△△に対して××の検討を・・・」とヒアリング対象となる顧客に具体的なイメージを持ってもらう心がけはしていた。
当時はあまり意識はしていなかったが、「人は具体性があるとより想起が進む」と言えそうだという点については、今回のちょっとした実験を体感してくださった多くの方からは指示いただけるだろう。
「何かないでしょうか?」に、本当に足りないものは、”事象をイメージできる具体性の提供”にあるのではなかろうか?