知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり 〜二次募集入試対策のみならず〜
先週金曜日のつづき
経済/経営系の大学院入試にて最も配点が高い口述試験にあたっての注意事項である。口述試験は、入試時点に提出した研究計画書に関して口頭で計画の詳細を説明し、試験の諸先生からの質疑に受け答えする。時間は、大学院により大きくことなる。
記述試験も併用している大学院では、15分前後だと思うが、口述試験が中心の大学院では、30分以上の場合も少なくない。口述試験にあたっては、自身の計画書(印刷物)の持ち込みも可能かチェックはしておきたい。また、書面、もしくは、プレゼンテーション用ソフトウェアでの発表用資料の事前準備を求められる事も少なくない。
私の場合、最初の大学院では、確か30分以上の口述試験だったと記憶している。(ひょっとすると、45分くらいだったかも)とにかく、辛く長〜い時間であった。
ビジネスにおける企画も、研究計画も基本的には同じである。背景と着目点があり、その必要性をもって問題意識を明確にしていく。数字(データ)を流用して客観性をもった説得力と、一定の仮説を掲げる。現状、到達している水準を示し、今後の計画について、到達可能性とあわせて想定される懸念事項に触れる。現時点にて足りないリソース(知識)を示し、この研究(もしくは、事業)の社会的貢献と学術的貢献を熱意をもって伝えきる。
というものの、プレゼンは口述試験の約1/3程度となり、残りはディフェンスの時間である。計画ストーリーに対して、試験担当の諸先生方から、それは厳しい突っ込みが待っている。矛盾や飛躍しすぎる論理構成の他、研究ストーリーにあたり基本知識とされる点の理解度についての口頭試験である。
大学教員は、学問に対して真摯であり、中途半端なストーリーに対しては、学問に対する侮辱と見なし、それは厳しい。
私の最初の受験では、それは”けちょん、けちょんにボコられた・・・”との表現に近い状態であった。
教員:(片手に私の計画書をもって)「だいたいね、キミの計画書っていっているコレだけど、こんなの計画書でもなんでもないよ」
バサッと投げつけられていないだけマシかもしれないが、受験料を払ってまでこんなに不快な思いをするとは思わなかったと感じた。しかし、倍率も結構あったこの受験で、結果的には、合格していたのがびっくりだった。
自身で注意していた点は、次の点である。
分からないこと(知らないこと)は、正直に言う。そして、今後、指導いただきたいと切に伝える。
「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」まさにこれにある。大学教員ならず、知ったかぶり、比較的早く化けの皮がはがれる。現時点での、自身の知の境界線を自己認識しているほうが、むしろ好感であろう。
「○○については、○○の理解にあります。○○の点で、○○だと考えます。しかし、○○の理論的裏付けについては、十分理解していません。入学できた際には、指導を受けながら理解を深めたいと思います。」
(このブログは、ごく普通の社会人がある大学院に挑んだ記録である。全く無名の弱体サラリーマンが、雑念の中からほんの少しの勇気を振絞り、今もなお大学院生でいられる奇跡を通じて、その原動力となった信頼と愛を余す所なく綴ったものである。)