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大学院に行ってみたいと思う気持ち(普通のサラリーマンの場合)

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 一度、就職してから大学院に進学するという話になると、「どうせ、日本の大学院を出ても、キャリアアップにならないよ」と言われることもある。

 そもそも、私自身が大学院に行くきっかけは、高尚な理由があったわけではない。自分がやっていることが、「なんなのかを整理したい」という思いが近いと思う。

 地方大学を留年しながらも卒業した後、化学系メーカーにて社内SEをしていた。天職にめぐり合ったのか、システム開発を通じて社内のプロセス改善を中心に積極的に意見するようになった。結果、若いながらもシステム開発の実質的なプロジェクトマネジャとして、自分の世界観を広げていった。

 当時は、まだまだ若く、会議では製造や営業部門の抵抗勢力に対して、情熱で押し切る以外には術はなく、「収益性は?」「生産効率は?」等、理にかなった回答はできなかった。また、そのことで、自分自身にイライラすることも度々あった。そもそも、会社である組織が、どのように運営されているのか、経営されているのか、その仕組み・枠組みが分からなかった。さらに、「抵抗勢力の人たちは、本当に分かっているのだろうか・・・?」 そんなことも思うようになっていた。

 自分の主張には、一定の自信をもっていても、情熱だけでは押しきれない何かを感じていた。客観的な事実や理屈・理論をもって、組織に参加する多くの人たちから理解・共感を得られないと、一定以上の大きさの組織は動かないと感じていた。

 帰宅時に立ち寄る深夜営業の本屋で、経営学の棚を意識するようになったのは、この頃だったと思う。

 その後、モヤモヤ感を引きづりながらも、家族の事情もあり、転職したが、そのモヤモヤ感は晴れることはなかった。ある時、ネットを見ていると、職場の近くにある大学が社会人向けに大学院を設けていることが分かった。すぐに、出願が迫っていたので、とにかく、まずは、願書なるものを取り寄せた。

 実は、この大学院の研究科は、“経営学”ではなく“経済学”だったが、無知な自分は、「経営学も経済学も似たようなものだろう・・・」と、とにかく出願の準備を進めた。

 書いたこともない、研究計画書について、「そもそも、何を書けばいいんだ?」と所からのスタート。出張先のホテルにて深夜まで格闘した。また、自宅では、妻に「どうせ、受かんないんだから・・・受かってから、心配したら・・・」と言われる始末であった。

 社会人をしながら、2つの大学院を修了し、博士後期課程に在籍している。キャリアアップにつながっているとの実感はまったくない。むしろ、今の生活にも不安のほうが多い。ただ、当時抱いていたモヤモヤ感は徐々に開放され、逆に「もっと、物事を整理したい」と思うようになった。

 必ずしも、大学院の終了がキャリアアップを約束する手形になるとは思えない。が、勘や経験だけではなく、先人の積み重ねた知見をお借りして、自分の考えを整理することは、実務にも新たな発見・気づきがあると思う。

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