国際色豊かなObjectWeb Con
フランスの2月はSolutions Linuxで始まるーー今年も1月31日、フランス最大のLinuxイベントが幕開けした。常連スピーカーだったRichard Stallman氏は、GPL改定作業が忙しいのか、今年も不在。そういう意味ではちょっと華に欠けるが、今年は別の意味で盛り上がっている。仏政府と企業がバックアップしているオープンソースコンソーシアム、ObjectWebのカンファレンス「ObjectWeb Con 2006」が平行して開かれているのだ。
初日の基調講演は、EU委員で研究開発を担当しているJesus Villasante氏が登場、国際レベルでのEUの競争力向上にとって、ソフトウェアとサービスが重要である点を強化した。EUの担当者をはじめ、欧州の政府担当者は常に、米国と比較しての自分達のポジショニングを気にしている。その際に、アジアにも触れられることが多いのだが、このところ日本が比較にあがることは少なくなってきた。Villasante氏のスピーチ中も、参考として触れたのは、韓国と中国のソフトウェア戦略だった。
さて、夕食はシャンゼリゼのトヨタショールーム近くにある豪華そうなレストランで。テーブルでは、昨年夏のApacheCon Europeで見かけたCliff Schmidt氏(米シアトルより参加)と、従業員2人のソフトウェア会社を営むフランス人経営者と同席。オープンソース、欧州と米国、日本文化(納豆と温泉)の話で大いに盛り上がった。Schmidt氏は米BEA Systems出身で、Apacheで法関係を担当している。また、GPL v3の意見取りまとめ役の1人でもあり、ObjectWebでも法関係で相談に乗っているという人物だ。会期中はライセンスに関するセッションを行い、主なライセンス11種のライセンスを指標化するなど、会場をうならせていた。
会場にはWiFiサービスがあったが、WiFiに接続できずに困っていたところ、助けてもらったのが中国から来たYanさんたちだ。アルファベットの人たちに助けを求めても、日本語を見るだけで逃げ腰になるが、さくさくっと助けてくれた。ObjectWebは昨年来、中国のオープンソース団体とコラボレーションを行っており、Yanさんをはじめ、このカンファレンスにも、中国のオープンソースミドルウェア、OrientWareに関わっている4名が参加していた。(写真左から、中国国防科学技術大学教授のYanさん、同副教授のBinさん)
ObjectWeb Conは全セッションが英語で行われたが、よく耳にしたのはスペイン語。スペインからの開発者が多数参加していた。実は、担当しているコラムにフランスにおける日本アニメブームの話を書いたところだが、ここでも日本アニメファンを発見。Jordiさんだ。
なんでも「日本アニメのことなら、かなりのことを知っている」と自信満々なのだが、私はほとんど知らないので、質問すらできなかった。「好きなアニメは?」と聞くと、「シンチヤン」??--どうやら『クレヨンしんちゃん』のことと勝手に解釈した。ちなみに彼は正確にはカタロニア語圏の人。日本アニメの輸入は、スペイン語よりもカタロニア語の方が数年早いそうで、翻訳の質もいいそうだ。そんなとき、Jordiさんはカタロニア語でよかったと実感するそう。「(カタロニアの)TV局には絶対、僕のようなアニメファンがいるんだよ」と断言。
Jordiさんは仏Bull勤務、ObjectWebのプロジェクトであるワークフローエンジン「Bonita」開発に関わっているそうだ。