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オープンソースと女性開発者

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20102005_048_s・・・などというテーマが浮かぶこと自体に素直に感動したのだが、ただでさえ女性のコンピュータエンジニアが7%と少ない中、オープンソースになると女性の占める比率は2%に減るのだそうだ。以前からこの事実を問題視しているDanese Cooper氏は先にオランダ・アムステルダムで開催されたOSConにて、これをテーマとしたパネルディスカッションを持った。

Danese(写真左)さんを初めとした5人の女性パネリスト(GoogleのZaheda Bhoratさん(写真右)、Wireless LondonのJo Walshさん(下の写真で左から2番目)、Perl FoundationのAllison Randal(下の写真、右)、Creative CommonsのPaula Le Dieuさん(下の写真で左から3番目))を前に、会場から自由に意見が出る。OSI(Open Source Initiative)のDaneseさんは、少し前からオープンソースコミュニティに対し、女性と開発国という2つのテーマを訴えているが、その効果があったのか、Debianは女性エンジニア向けの取り組みDebian Womanに着手し、Apacheも後に続いている。だが、「(これらコミュニティに)話を持ちかけると同意はするが、なかなかアクションが起きなかった」とDaneseさんは語る。

Daneseさんの分析によると、「貢献しなくても参加できる居場所をコミュニティに作ることが、女性や途上国の参加を促す」という。ーーでは、貢献しないとして、女性に何ができるのか? これに対して、会場の男性からは「ドキュメンテーションの作業はありあまるほどある。広報的な役割も期待したい」という声があれば、女性開発者からは「ドキュメンテーションはおもしろくない。開発者であるからには、コーディングをしたい」という声も上がる。スカンジナビア出身という別の女性開発者は「(自分にとって)英語が母国語でない。加えて女性。かなり制限されている気がする」とつぶやく。

20102005_042_sもっとも盛り上がったのが、あるMozillaの開発者の次のような発言ーー「女性はマルチタスクという特性が強い生き物であって、集中を要求されるコーディングには向かないのでは・・・・・・」。彼が最後まで発言し終えないうちから、その場にいた女性はもちろん、男性からもものすごいブーイングが起こる。だが、彼の意見に合意している人も、少なからずいたはずだと私は見ている。

この騒ぎをフォローするかのように、「子供のころは、男性女性の差がないのに、大人になるにつれて男性はこうあるべき、女性はこうあるべきと教えられる。性差は教育と環境にも左右されている」とある男性。その人の奥さんは、昔は同業で「わたしよりきれいなコードを書いていた」が、次第に家庭に入っていったのだそうだ。

PerlのAllisonさんは静かに、「環境は大きい」と言う。子供の頃に、お父さんにコーディングを習ったというAllisonさんは、7歳のころからコードを書いていたのだそうだ。またGoogleに勤務するインド出身のZahedaさんは、「インドでは女性も数学やコンピュータを当たり前のように学ぶ」と語り、女性だからコーディングに向かないという意見に異論を唱えた。

45分間という時間はあっという間に過ぎ、結局これといった結論はでなかった。でもこういった話合いをみんなで行えたこと自体がすばらしいチャンスだったし、それぞれの考え方があっていいと思う。

ちなみに、同じ女性という立場からーー。開発者ではない私は、ずいぶん前から、自分と同業であるコンピュータ関連のプレス業界の男女比の方が気になっていた。ここでも確かに女性は少ない。私の場合、仕事を通して知り合った女性の多くはプレスというより、企業の広報担当者の人だ。それでも、このOSConでは、南ア出身で英国ウェールズ在住というチャーミングな女性記者と仲良くなり、期間中ほとんど行動範囲が同じ(同じセッションに出ていた)だったこともあり、すっかり意気投合してしまった。その後も、お互い開発者ではないという共通の背景から、情報交換を続けている。少数派にはそんなメリットもあるなと思う。

あとは、トイレ! セッションが終わった後、男性トイレには長蛇の列ができていますが、われわれ女性のトイレはがらがらなのです。

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