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欧州オンライン音楽事情

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EU(欧州連合)の欧州委員会(EC)は先週末、オンライン音楽サービス市場を奨励すべく、加盟国で共通した著作権ライセンスを制定する意向を発表しました。

現在、加盟国25カ国にはそれぞれの著作権法を敷いており、楽曲の著作権とその利用に関して共通した法体系はありません。つまり、現時点では、欧州数カ国でオンライン音楽サービスを開始するとなると、各国の法をクリアする必要があり、時間・資金的にみて大きなハードルとなっています。場合によっては、アーティストと直接交渉というケースもあるらしく、かなり複雑なのだそうです。

米Apple Computerの人気オンライン音楽サービス「iTunes Music Store(iTMS)」の欧州市場参入が予定より約9ヶ月も遅れてしまった原因も、主としてここにあります。

ECでは当面10月を目標に、何らかの見通しを立てるとしています。

012005_001_sここで、欧州のオンライン音楽市場について少し・・・。
AppleのiTMSのほかにも、米Napster、ソニーなど主な国際ブランドがひしめいています。各社の参入ラッシュは昨年の6月ごろで、この時期に、Appleをはじめ、Napster、ソニーが相次いで欧州で展開を開始しました。2003年9月、その一足先に米MicrosoftがMSNブランドにてサービスを開始していますが、市場の火付け役となったのは、欧州でもやはりAppleだったようです。

ちなみに、先の“欧州各国で異なるライセンス”の問題部分ですが、MSNをはじめ、WanadooやTiscaliなどの多くのポータルサービス、Virgin Mega Store、Coca-Coraなどが英OnDemandDisctibution(OD2、米Loudeyeが買収)のインフラをそのまま利用することで、クリアしています。

音楽好きな英国ではOD2のほかに国産ブランドも多く、格安が魅力のWippit、そのWippitと提携したEasyMusicもあります。EasyMusicでは、通常のサービスのほか、契約のないアーティストに発表の場を提供する「Copyleft」も提供されると発表時に聞いてたのですが、いまサイトを見てみると、まだはじまっていないようです。

*写真は、違法ダウンロードは止めようと訴えるアーティストたちのポスター。パリ・地下鉄の駅にて。

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