活躍する東欧出身の技術者
セキュリティ企業のF-Secureの本社を訪れることができた。ちょうどラボを新設したばかりで、タイミングとしてもラッキーだった。アンチウイルスと聞くと、先のトラブルが話題になったTや大手のSが浮かぶが、F-Secureは地味ながらもレスポンス時間はトップなのである。詳細はこの記事を(IT Mediaの記事ではありません、ごめんなさい)。
週末になると、仕事関係の人とは連絡が取れなくなるが、F-Secureのアンチウイルス研究家のKatrinさんにメールを投げると、すぐに返事が来る。自宅にもハニーポットがあるというKatrinさん、突然のウイルス発生に備えて待機する当番のときは、コンピュータに張り付いているからだ。
Katrinさんは、ブルガリア出身。1991年に祖国のウイルスラボでコンピュータウイルスの世界に入り、1997年にF-Secureに入社すべく北欧フィンランドへ。以来8年間、プロとしてウイルス研究を続けている。アンチウイルスの世界では有名なMikko Hypponen氏を上司に持つ。ウイルスによっては手を焼くこともあるが、全員が一致団結して解決策を見出すチームワークの部分にやりがいを感じているという。だから、不規則な就労時間でも苦にならないのだろう。この他にも、F-Secureにはハンガリー出身のGergelyさんがいる。
東欧諸国の多くは伝統的に、高レベルを誇る国営研究施設を有しており、中でもハンガリーやルーマニアなどは数学に強い民族といわれている。民主化、EU拡大とともに、そこで育まれた優秀な頭脳が国外に飛び出しており、英独仏などの西欧諸国はこれを脅威と見る向きもある。外部者の私にはむしろ、そのような優秀な人が米国に流れる前に欧州にとどまってもらい、欧州全体の技術力や魅力を高めることのほうが得策に見えるのだが。
ちなみにこのKatrinさん、ハスキーな声でドライな発言をするわりに、ぬいぐるみやおもちゃを収集するという女の子らしい一面も併せ持つ。すっかりファンになってしまった。