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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

レタッチ疑惑

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「あの写真、レタッチしたんでしょ?」

 そう言われて仰天した。@ITのオフィスに出向いた時、当時@IT社長だった藤村さんから何気なく言われた。えええっ。あの写真とは@IT自分戦略研究所の不定期コラムにある写真だ。

 すぐそばにいた編集さんも「ぼくもそう思うけど」という目でこっちを見ている。えええっ。なんてことだろう。いつの間にそんな疑惑がかかっていたとは。

 即座に「えー。違いますよー。してませんよー」と釈明した。ヨーダに誓ってもいい。本当にしていない。レタッチなんて。……デジタル的には。

三善のアンバーローズとメイベリンのオークル3  秘策は舞台で使う化粧下地のフェースケーキを使ったことだ。アマチュアだが、いちおうたまにダンスの舞台に出るので持っている。使ったのはいつも舞台で使う三善のアンバーローズ。ピンクがかかった色だ。もうかなり前から使っている。

 舞台化粧といえば。就職したてのころに通っていたダンススタジオの舞台ではどうらん(グリースペイント)から口紅まで色番号が指定されていた。どうらんは三善の25P、ちょっと濃い目の肌色だ。当時の私の好みでは22Pも混ぜたかったのだが「白すぎる」と許されなかった。

 ちなみに単独で22Pを使うとジゼルの肌色になる。ところでジゼルをご存じだろうか。王子にふられてショックのあまり息絶えたヒロインが「恨めしや~」と踊るホラー・スペクタクルである。これ、本当。見るべし。

 それはさておき、当時そのスタジオの先生は本番前になると化粧指導をしてくれた。そこで曰く。

「いいこと。化粧は地塗りが大事なのよ」

 まるでどろどろとコンクリートでも流し込むような、建築現場の話かと思うような口ぶりで話していた。でもそれで本番では下地は念入りにという教訓が身にしみている。それでコラムの写真を撮るときにアンバーローズで地固めした。これならレタッチとは言わない。デジタルなデータになる前に補正しているのだから。

 それにしても、アンバーローズだとあまりに不釣り合いな艶っぽさでもあったのだろうか。そこでこのブログの写真を撮る時には普段使っているメイベリンのドリームマットムースのオークル3にしておいた。今回は地塗りより映画「アメリ」のポーズをまねることに力を入れた。

 写真を撮る前は地塗りをしっかり。顔は気合いで。できるだけ明るいところ、時間帯ならお昼近く。それからすぐ確認できるようにデジカメで。あと何度でも撮り直しに応じてくれるカメラマンにお願いする。最初の写真も何度も撮り直したと藤村さんに話した。

「そうか、夫婦の愛ねぇ」と藤村さんは目を細めて言った。

 うぐっ。

※注:ジゼルは私にとってお気に入りの作品のひとつである。

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