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自分で考えられる社員を育てたいなら迷わせよ

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技術職(主にITエンジニア)社会人の「わかりやすく書く力、説明する力」を伸ばす教育研修を行っている、ロジック図解コンサルタントの開米瑞浩です。

今回は「自分で考えて応用できる人材を育てたい」という場合に気をつけるべき、「社員教育についてのよくある誤解」のひとつについて書きます。

今年も新入社員研修真っ盛りなシーズンはそろそろ終わったころかと思いますが、一方で社員をエンジニアリングの実戦力として鍛え上げる実務研修はこれからが本番という会社も少なくないことでしょう。

その種の研修では、専門的な知識・技術を教えて「自分で考えて応用できる」ようにしなければなりません。ビジネスマナーや事務的業務系の研修には「覚えてそのまま使えば良い」というタイプの講座もありますが、専門知識・技術を扱うエンジニアリング系では「教科書通りのケース」がそのまま出てくることは少なく、「自分で考えて修正していく」応用力が問われることがほとんどです。

実はそれができる人材を育てるための教育研修をする際にありがちな「よくある誤解」がいくつかあります。

その1つが、「教育=プレゼンテーション」だと思い込む勘違い

プレゼンテーションをするときの鉄則をもし一つ挙げるとすれば、

「言いたいことをシンプルなメッセージにする」

ことではないでしょうか。

「ん? この人何が言いたいんだろう?」と悩ませ・迷わせてしまっては失敗なので、考え抜いた結論をシンプルな一言にして伝えるのがプレゼンの鉄則とされています。

ところがこの鉄則が「教育」の時には通用しません。

話は単純で、「自分で考えて応用できる」ようになるためには、「自分で考える」という体験をしてもらわなければならず、それには「迷ってもらう」必要があるからです。

たとえば「火事が起きている」状況に対応できるようにするために、「火を消す方法」を教える必要がありますが、ここでたとえば「水をかけるか、布をかぶせるか、どっちがいい?」と問いかけをしてあとは放置するのが「教育」です。(「放置」というと語弊がありますが、簡単に答えを教えてはいけないという意味です)

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基本的な消火の知識を持っている人が「どっちがいい?」と聞かれたら、迷った末に「油火災の場合は水をかけるとかえって広がる恐れがあるから布を使う、そうでなければ水をかけてもいい」といった答えを出すことでしょう。

この答えを出すために何をやっているかというと、「想定する状況」に対して「機序」という知識を適用して結論を出しているわけです。これが「応用」です。

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この「応用」を自分でできるようにするためには、「迷った末に自分で結論を出す」という経験が絶対に必要です。「こういうときは、こうしろ」という1問1答的に「答え」を教え込まれて暗記しただけでは、「自分で決める」ことができません。

現実の世界で遭遇する「問題」は明快な正解がないものが大半なので、それに対応できるようにするためには研修段階から「迷った末に決める」というワークを意図的に入れ込んでおく必要があるわけですね。

これについての誤解が

「教育=プレゼンテーションだと思い込む勘違い」

です。新製品、新サービスの発表のようないわゆる「プレゼンテーション」の場では「我々が自信を持ってお届けするソリューションはこれです!」のように「結論」をシンプルに打ち出すのが鉄則ですので、その感覚で教育をやろうとすると失敗します。

「大勢の人に対して技術的な説明をする」ということだけ見れば同じでも、教育用のテキストとプレゼン用のテキストでは作り方が全く違ってくるので、注意が必要なのです。

教育研修をする際にありがちな「よくある誤解」とその解決策は他にもいくつかあります。そこでそのポイントがまとめてわかるオンライン講座を用意しました。Six Stars Consulting 株式会社主催で7月20日に開催予定ですので、専門知識・技術を教える役割を持ってお困りの教育担当者の方にオススメです。

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