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挑戦に理解を得るための「説明力」 : (日経SYSTEMS誌2月号第3特集)

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昨日(1月26日)発売された日経SYSTEMS誌2月号では、私が第3特集として "挑戦に理解を得るための『説明力』" という記事を寄稿しています。

詳しくは本誌をお読みいただくとして、ここでは概要を紹介します。

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【記事リード】

新たな取り組みに挑戦するIT現場が増えている。挑戦する前には、その内容をしっかりと関係者に説明し、理解を得る必要がある。そこでIT現場をよく知り、図解やプレゼンテーションを得意とする有識者に、説明の秘訣を解説してもらう。「説明力」を鍛えるユニークな試みも紹介する。

【四つのステップ】

では、どのように説明したらよいか、筆者は大きく四つのステップを踏むことをお勧めする。(1)誰から説明するかを考える、(2)相手の言葉で筋書きを作る、(3)成算の見込みを示す、(4)小さな選択の機会を用意する、である

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【相手の言葉で筋書きを作る】

 そこで重要なのが、相手の言葉で筋書きを作ること。つまり「あなたたちから聞いた悩み」という筋書きで話をする。

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【可視化表現と意味あい説明】

予備知識が限られる相手へ説明する場合はもうひと工夫したい。論理を見てわかるようにする配慮である。

そこでお薦めしたいのが、「可視化表現」と「意味合い説明」を組み合わせる方法だ(図6)。可視化表現とは、グラフ、フローチャート、連関図(原因と結果などの関係を図解したもの)、写真、イラストなどのこと。「意味合い説明」は、可視化表現に含まれる注目点を「一時的に爆発的に増加する」といった具合に言葉で表現したものである

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結び

相手が一切リスクを取りたがらない「ゼロリスク主義」の場合、率直に答えると挑戦を認めてもらえないと思うかもしれない。しかしそうしたゼロリスク主義の人物は、どんな説明を受けても認めようとはしない。
 一方、挑戦を理解してくれる相手は、大筋の技術的な合理性に加えて、二つのポイントを見極めて判断する。一つは経験から学ぶ能力、もう一つは、少々のトラブルにもへこたれない、逃げない姿勢である。
 挑戦するときには、前例のないトラブルが付き物。そこでトラブルから逃げずに取り組む姿勢があり、しかも経験から学んで成長する能力があるかどうかを見極めようとするわけだ。
 つまり、最後にものをいうのはこれまで積み重ねてきた信頼である。日ごろから発言をごまかさず、新しいことから逃げずに学んでいるかどうかが、あなたの説明に対する何よりの説得力となる。あなたが信頼されていれば、本稿で解説した説明法を取り入れることで「挑戦」を理解してもらえる見込みは大幅に上がる。

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