特性・効果・用途パターンのご紹介
技術屋のためのドキュメント相談所・所長の開米です。
どうやら台風も近づいているようです。皆様事故のないようご注意ください。
さて今回は、「特性・効果・用途」というパターンをご紹介しましょう。
近頃こんな種類のカメラがよく売れてますよね。
写真はGoPro HERO3+ という製品。分野としてはアクションカメラなどと言われているようです。このアクションカメラという分野はどういうものかを説明してみましょう。
【アクションカメラとは】
アクションカメラとは、小型軽量でシンプルな操作性を持ち、さまざまな物にとりつけるアダプタが豊富に用意されたカメラである。たとえば自転車やヘルメットなどに固定して動画を撮影することが簡単にできるため、ライブアクションを記録する用途に向くことからアクションカメラと呼ばれている。
例文は私が書きました。この説明文の中の情報はおおまかに「特性・効果・用途」の3種類に分けられます。
特性:小型軽量、シンプルな操作性、取り付けアダプタが豊富
効果:自転車やヘルメットなどに固定しての動画撮影が簡単
用途:ライブアクション記録
「特性」というのは、アイテム自体が持っている何らかの性質です。
その特性は、使う人にとって何らかの意味を持つはずで、それが「効果」です。
そしてその効果があるために、ある「用途」に使える、という構造ですね。
この「特性・効果・用途」の組み合わせはわりとよく出てくるので覚えておくと良いでしょう。
「効果」は、「使う人にとっての意味」なので、人が違えば違う意味を持つことがあります。
「このカメラは小型軽量なんです」というのは誰にとっても共通の事実ですが、その同じ特性について
Aさん:じゃあ、ヘルメットに固定して使えるんだね
Bさん:じゃあ、通勤バッグの中にでも収納できるね
のように、人が違えば違う意味を見いだすことでしょう。それが「特性」と「効果」の違いです。
一方その「効果」は特定の「用途」で役に立つはずです。
「ヘルメットに固定して使える」 → へえ、だから何が嬉しいの? → 「つまりライブアクション記録ができるんだよ」 と考えると、「ライブアクション記録」のほうが、「用途」をストレートに語っていることに注意してください。
人間は、「(目的)○○をするために、(手段)××を使う」のように、目的と手段がある場合は目的を先に説明してもらったほうが理解しやすく感じるものです。というのは基本的に人間は自分が関心のあるモノしか聞きたくないのが普通なので、「これは俺に関係のある話かどうか?」を先に言って欲しいと思うものなのです。そこで、目的を先に言うのが「わかりやすい説明」をするための基本です。
ここでいう「目的」というのは「用途」とほぼ同じ意味です。ですので、「用途」と「効果」は分けておきましょう。分けておけば、「用途」の話を先にして想定ユーザーの関心を引きつけるような説明がしやすくなります。
というわけで「特性・効果・用途」というのは商品説明などでよく出てくる基本的なパターンの一種ですので、参考にしてください。あなたの手元の商品やサービスの説明書は、このパターンで分類してみた方がわかりやすくなるかもしれません。
ただし、この種の「よくあるパターン」も何種類も存在するし、微妙に違うバリエーションが出てくることが多いため、それをで自力で見つけることは難しい場合があります。そんな時は「開米のドキュメント道場 リアル開催」においでください。私と一緒に考えてもらえば、ずっと簡単に見つかりますので。
【例文募集中】
なお、「特性・効果・用途」パターンの例として紹介できる説明文を今探しています。「これがそのパターンになるんじゃないかな?」と気がついたものがありましたら、開米まで情報お寄せください。私が精査して整理分析して改めて紹介させていただきます。
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