「ユーティリティコンピューティング」の説明文リライト
技術屋のためのドキュメント相談所・所長の開米です。
一読しただけではよくわからない、そんなテキストをわかりやすく書き直すチャレンジをしてみましょう。
今日はこんなテキストを題材にしてみます。
ユーティリティコンピューティング
ユーティリティコンピューティング(英: Utility computing)とは、リソース(CPUやストレージ)を電気/ガス/水道や電話のように使用した分だけ料金を課すようにサービスとしてパッケージ化すること。
【概要】
ユーティリティコンピューティングでは、システム構築の初期投資が少ないか、ほとんどかからない。その代わり、計算リソースは基本的にレンタルされる。顧客は急に大規模な計算能力が必要になったり、アクセスが集中して処理能力が必要になった場合でも、新たなコンピュータ群を物理的に調達して配線などを行う時間をとることなく、必要に応じてリソースを追加利用できる。
(出典: Wikipedia 日本語版 ユーティリティコンピューティングの項、2013年8月13日 (火) 03:34更新版)(なお、出典にWikipediaを使用しているのは単に引用しやすいからです。内容の信頼性は保証されませんので念のため)
「ユーティリティコンピューティング」について説明している文章ですが、ざっと読んだ感じ、「何のために(目的)、何をする(手段)」という関係の中の「何のために(目的)」の部分が弱いというか、イメージが沸きにくい気がします。
特に、「システム構築の初期投資が少ないか、ほとんどかからない」というところ。あっさり書かれてますが、ここに「どうして?」と疑問を持ったときに、その理由が想像できるような形に書いてみたいですね。
私が書くなら、こんな感じです。(以下、ユーティリティコンピューティングの解説文案)
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夏に仕事をするA部門と冬に仕事をするB部門があるとします。両部門とも夏前に業務処理用のサーバを購入し、それぞれ夏、冬に稼働させたとします。すると下記図のように、サーバ投資は2式分必要で、稼働率は両部門の夏冬トータルで50%になります。
しかし、稼働率50%ということは、もしこれを下記のような形にすれば、トータルのコストを下げられるのではないでしょうか?
つまり、AでもBでもない第3の部門がサーバ1式を購入し、A、Bそれぞれの必要に応じて使用権を割り当て、A、Bから使用料金を徴収する、という方法です。これが出来れば稼働率を100%にしてサーバコストを半減できます。
と、大まかにこのような形でのコンピュータ利用を可能にするのが「ユーティリティコンピューティング」です。
そのポイントとしては以下のような項目があります。
- 利用部門は設備を所有せず、必要に応じて借りる。
- 繁閑のタイミングが異なる複数の利用部門で設備を共用することにより、少ない設備で必要な業務を遂行できるようになる。
- 「設備」の「割当」を円滑に行えるようにするために、仮想化技術を使用する。
- 利用部門(A、B)と、設備管理を行う「第3の部門」はそれぞれ別会社であることも可能。
- 「第3の部門」が独立して、複数の利用者に対してインターネット越しにサービスを提供できる形にしたものがクラウドコンピューティングである。
以上。