新入社員ならこれを読め! 「江戸商人・勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本」
こんにちは、文書作成コンサルタントの開米瑞浩です。
誠ブログでは既に「開米のリアリスト思考室」というブログもありますが、そちらは政治経済・軍事・社会問題に関する論考のみにして、本業である文書作成関係の記事はこちらで書いていくことにしましたので、よろしくお願いします。
さて、では文書作成に関する話題を・・・と言いたいところですが、その前に一件、書評です。
同じ誠ブロガーでもある公認会計士の眞山徳人さんが、このほど本を出されました。
タイトルは「江戸商人・勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本」です。
名前の通り、会計の入門書・・・なのですが、意外なことに複式簿記の解説も、貸借対照表も出てきません。
ではいったいどういう本なのかというと、
「儲けの基本」 を会計の概念から学べる本
という感じですね。新入社員ならぜひ読んでおきたい、そんな本です。
「儲け」はビジネスの結果です。その「ビジネス」には、現金を使って仕入れて加工して販売して回収する、といったビジネスの工程があり、その工程の中には原材料費、仕入諸掛、人件費、減価償却費、与信管理、商品企画、プロモーションなどさまざまな要素があり、そのすべての結果が「儲け」である、という、ビジネスの基本中の基本中の基本がわかる構成になっています。
繰り返しますが、新入社員なら業種・職種を問わず読んでおいて損はないと思います。経験が浅いうちはどうしても、ビジネスの工程のうちの1つの「作業」のみをまかされるだけで全体像がわからないため、トータルでは利益にならないことをしてしまったり、自分勝手な不満を持ったりということをしがちですが、この本を 「うちの会社の場合はどれに当たるだろう?」 と考えながら読んでゆくと、その辺の理解が進みます。
先ほども書きましたが、「会計」について書いているのに複式簿記も貸借対照表の説明も出てこない、不思議な本です。その点を著者の眞山さんに聞いてみたところ、こんなふうに答えていただきました。
今回は本当に「最小限」かつ「制度を意識させない」という点を注意して書きました。BSはどうしても株式会社制度などを意識しないといけなくなったり、あるいはBSとPLの間合いを決めるための、決算の整理仕訳といった簿記らしい論点も出てきます。
そう言うのはこの際除外したいというのが私の思いで、それゆえにPLだけを解説の俎上にあげたということです。
確かに、右も左もわからない新入社員がまず初めに知っておくといいのは「利益」がどうやって生まれるか、というビジネス・プロセスのイメージで、それを知る上で最小限に必要なのはPL(損益計算書)の考え方です。複式簿記やBS(貸借対照表)の話はなくてもわかります。
その代わり、上述の図の中に出てくる用語からも推測できると思いますが、利益が出るビジネスを作るために必要な「商品企画」や「プロモーション」「マーケティング」の考え方についてはしっかりと書かれています。
そんなわけで、「新入社員なら業種を問わず読んでおいて損はない」本に仕上がっています。
ご自身のためにも、また、後輩のためにも、一冊いかがですか?