ジェネラリストの時代
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
本日は、今週月曜日にHarvard Business Review Blogに載った論考をご紹介。
結局全ての流行は繰り返される感じではありますが。
All Hail the Generalist
ジェネラリストのみなさん、ようこそ!
http://blogs.hbr.org/cs/2012/06/all_hail_the_generalist.html
ジェネラリストのみなさん、ようこそ!
http://blogs.hbr.org/cs/2012/06/all_hail_the_generalist.html
We have become a society of specialists. Business thinkers point to "domain expertise" as an enduring source of advantage in today's competitive environment. The logic is straightforward: learn more about your function, acquire "expert" status, and you'll go further in your career.
スペシャリストの時代が長く続いています。そのドメインの知識(expertise)を身につければ、それでキャリアの価値が高まるという具合に。でもその結果、
Corporations around the world have come to value expertise, and in so doing, have created a collection of individuals studying bark. ... Few have developed the understanding that the bark is merely the outermost layer of a tree. Fewer still understand the tree is embedded in a forest.
樹皮(bark)のことしかわからず、つまりごく限られた専門的なことしかわからず、木だけを見て森を見ることが出来ない人が増えている、と。
もちろんこの議論は長く繰り返されているわけで、古くは2,700年前のギリシャの哲学者アルキロコスは、キツネは多くのことを知っているのにハリネズミ(hedgehog)は大きくともたった一つのことしか知らない、と語り、一方で1953年に思想史家のアイザイア・バーリンは、核となる考えを持って収斂させるハリネズミに対して、キツネは一般化しか出来ない、と批判する、という流れが綿々と続いています。
しかし、著者は昨今のスペシャリスト優勢の時代が終わりを告げそうだ、と言います。その理由としては、
To begin, our highly interconnected and global economy means that seemingly unrelated developments can affect each other.
第一に、相互関連性の非常に高い世界経済においては、全く無関係と思われるあらゆる事象が互いに影響しあうようになった、ということ。
Secondly, specialists toil within a singular tradition and apply formulaic solutions to situations that are rarely well-defined.
第二に、スペシャリストは個々の専門性の伝統を元に、十分な定義さえ滅多に為されていない事象に対して単一の公式をあてはめようとする、という点。
Finally, there appears to be reasonable and robust data suggesting that generalists are better at navigating uncertainty.
そして最後の三点目として、ジェネラリストのほうが不確実性を処理していくのにより優れているという合理的かつ強固なデータがある、とのこと。
この三点目については、フィリップ・テトロックという学者が20年以上にわたって284人のプロの未来予測者を調べたデータが使われています。80,000以上にものぼる予測結果を見てみたところ、
experts are less accurate predictors than non-experts in their area of expertise. Tetlock's conclusion: when seeking accuracy of predictions, it is better to turn to those like "Berlin's prototypical fox, those who know many little things, draw from an eclectic array of traditions, and accept ambiguity and contradictions."
そのエリアに関するエキスパートよりも、そうではない人のほうがより正確に予測をしていた、ということなんだそうです。そして、テトロック教授は、曖昧さや矛盾を許容し、小さな知識の積み重ねから取捨選択していくバーリンの言うところのキツネの言うことを聞くほうがよいだろう、と語っています。
さて、この傾向を踏まえて、企業などの社会組織にどう適用させていくかという点については、
A collection of specialists creates a less flexible labor force, one that requires "retraining" with technological developments creating constantly shifting human resource needs. In this regard, the recent emphasis in American education on "job-specific" skills is disturbing.
スペシャリストばかりの労働力はフレキシビリティに欠け、人事としてはしばしば「再教育」を行う必要が出てくる、と。したがってアメリカの教育界で行われる「職業教育」はジャマなだけだ、と。
今の日本での議論と完全に対象的ですね(苦笑)。
Within a company, employees skilled in numerous functions are more valuable as management can dynamically adjust their roles. Many forward-looking companies are specifically mandating multi-functional experience as a requirement for career progress.
会社内では、社員は複数の機能にまたがるスキルを身につけて、管理側がダイナミックに役割を変化/調整させられるようにすべき、とのことで、いわゆる日本的ジェネラリスト養成型が好ましい、ということのようです。アメリカでも先進的な企業では複数機能における経験をキャリアアップの必須条件にしているところもあるんだとか。
そして、個人レベルでは、
individuals should manage their careers around obtaining a diversity of geographic and functional experiences. Professionals armed with the analytical capabilities (e.g. basic statistical skills, critical reasoning, etc.) developed via these experiences will fare particularly well when competing against others more focused on domain-specific skill development.
機能だけでなく、地理的にも様々な経験を重ねるべきだ、と説いています。もっともこういった多様性の前提として、分析的な能力(analytical capabilities)は大前提として持つべき、との忠告付き。
結論として、
The time has come to acknowledge expertise as overvalued. There is no question that expertise and hedgehog logic are appropriate in certain domains (i.e. hard sciences), but they certainly appear less fitting for domains plagued with uncertainty, ambiguity, and poorly-defined dynamics (i.e. social sciences, business, etc.).
勿論専門分野として深い専門知識が必要になる分野はあるものの、社会科学やビジネスにおいてはスペシャリストはそぐわなくなるだろう、ということでした。
異論はいっぱいあると思いますが。。(>_<)
お読みいただきありがとうございました!
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