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政府のAI 戦略会議で整理している「AI に関する暫定的な論点整理(要旨)」

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政府は2023年6月8日、「総合科学技術・イノベーション会議(第69回)」を開催しました。

今回はこの中から、AIに関する暫定的な論点整理(要旨)について、とりあげたいと思います。


※本論点整理は、最近の技術の急激な変化や広島 AI プロセスを踏まえて、AI 戦略会議構成員が AI 関連の論点を整理したものです。

〇生成 AI の可能性
 生成 AI の登場は、内燃機関の発明・IT 革命と同じく、幅広く生活の質を向上させる「歴史の画期」となる可能性。また、生産性の向上・情報アクセスの改善など、諸課題の解消も期待される。

〇生成 AI と日本の親和性
 我が国は、①研究・技術水準の高さ、②ロボット・AI への肯定的イメージ、③労働人口急減、④デジタル化への高いニーズ、⑤きめこまやかさ・創造性など、生成 AI との親和性が高く、大きなチャンス。

〇いま戦略を検討することの重要性
 我が国に、AI の勃興とともに再び成長の機運が見えており、諸外国の後塵を拝さないよう、今こそ大胆な戦略が必要。
 政府は、人々が AI がもたらす社会変化に対して安心感を持ち、各プレイヤーが予見可能性を持てるようリスクに対応すべき。また、企業・研究者が存分に活動できるインフラ整備を行うべき。

〇これまでの政策と論点整理の関係、論点整理の意義
 政府は、これまで「AI 戦略 2022」や「人間中心の AI 社会原則」などを定めてきた。この論点整理は、従来の基本戦略・理念は維持しつつ、急激な技術変化や G7広島サミットで合意されたビジョンと目標(「我々が共有する民主的価値に沿った、信頼できる AI」)等を踏まえ、AI 戦略会議の構成員が有識者として、生成 AI を中心に課題と方向性などを整理したもの。

<基本的な考え方>

国際的なルール構築に向けた主導的役割の発揮
 AI に国境はなく、国際的な共通理解・ルールづくり・相互運用性が重要。我が国は、「広島 AI プロセス」などを通じ、議論をリードすべき。

〇リスクへの対応と利用
 生成 AI の開発・提供・利用を促進するためにも、生成 AI の懸念やリスクへの適切な対応を行うべき。いわば、「ガードレール」の設置が必要。
〇多様な関係者を巻き込んだ迅速かつ柔軟な対応
 政府は、広島 AI プロセスなどの検討スケジュールも踏まえつつ、マルチステークホルダーを巻き込んだ、迅速かつアジャイルの対応が求められる。

〇リスク対応の基本方針
 まずは AI 開発者・提供者・利用者等が自らリスクを評価し、ガバナンス機能を発揮する。
 必要に応じ、政府を含む多様な関係者によるリスク対応の枠組みを検討・実施する。
 既に表面化しつつあるリスクのうち、既存の法制度やガイドライン等を前提に対処できるものは、周知徹底など早急に対応する。
 既存の法制度・体制等では対応できない可能性がある場合は、諸外国の検討なども参考に対応を検討すべき。
 将来生じ得るリスクについては、そのリスク把握に随時努める。

〇透明性と信頼性
 AI 開発者・提供者には、現行法令やガイドラインに則り、積極的な情報開示を求めたい。
 政府は、主要な AI 開発者・提供者に対して、透明性・信頼性の確保を直接働きかけることも検討すべき。
 生成 AI の普及を踏まえ、既存のガイドラインに関して、必要な改定などを検討する必要がある。その際、諸外国における検討とも協調し、第三者認証制度や監査制度等も参考とすべき。
 顕在化したリスクを低減するような技術の研究開発・普及を奨励することも望ましい。

〇懸念されるリスクの具体例と対応
 機密情報の漏洩や個人情報の不適正な利用のリスク
 犯罪の巧妙化・容易化につながるリスク
 偽情報などが社会を不安定化・混乱させるリスク
 サイバー攻撃が巧妙化するリスク
 教育現場における生成 AI の扱い
 著作権侵害のリスク
 AI によって失業者が増えるリスク

<AIの利用>

〇生成 AI は、デジタル化を加速させ、我が国全体の生産性向上のみならず、様々な社会課題解決に資する可能性がある。
〇AI 利用を加速するため、医療や介護・行政・教育・金融・製造等のデータ連携基盤の構築・DFFT 構想の具体化・人材育成・スタートアップの事業環境整備を進めるべき。
〇政府機関が一体となって、機密情報漏洩のリスクなどに配慮しつつ、率先して生成AI の利用可能性を追求することが重要。
〇幅広い世代が生成 AI の恩恵を享受できるよう、スキル・リテラシーを身に付けることが大切。

〇生成 AI に関する基盤的な研究力・開発力を国内に醸成することが重要。政府は、AI 開発におけるインフラとも言うべき、計算資源とデータの整備を行うことが最も重要。
〇計算資源を活用するための電力調達が課題。地方のデータセンターの活用を含め、電力を有効活用する方策の検討が必要。
〇開発に用いることのできる日本語を中心とするデータの整備・拡充を進めるべき。
〇また、生成AI 自体の開発は、市場原理を最大限尊重した、民間活力を十分活用した従来型ではない開発促進策が期待される。世界からトップ人材が集まる研究環境の構築も期待される。

<その他>

〇安全保障に関わる論点については、情報管理上の必要性に応じて、専門部署による議論に委ねる。
〇従来型の AI との適材適所による使い分けも念頭に置くべきである。 〇政府は、AI 戦略会議・AI 戦略チームを軸に、各省協力しながら政策を立案・推進していく必要がある。
〇AI 戦略会議は、「広島 AI プロセス」に対しても貢献していく。
〇政府が本論点整理を踏まえた政策を実現するに際しては、広く国民や事業者からの意見を聴くことが重要である。

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出典:総合科学技術・イノベーション会議(第69回) 2023.6.8

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