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記者としての取材や編集者としての仕事の中から浮かんだふとした疑問やトピックをご紹介。裁判や企業法務、雑誌・書籍を中心としたこれからのメディアを主なテーマに、一歩引いた視点から考えてみたいのですが、まあ、精密でない頭の中をそのままお見せします。

「生き残るための」文章の書き方 ①5つのメソッドで、あなたの文章が変わる

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■開講の辞
おこがましくも、私が文章の書き方を語ろうというのである。

タイトルを"「生き残るための」文章の書き方"とした。昨今の厳しい経済情勢や、産業構造の大きな変化で、働き方が大きく変わりつつある。言われたことをやるだけの仕事では、いつ他人の都合で仕事そのものが消滅するかわからない。他人ではなく自分が仕事の主導権を握らなければならない。そのためには、頭の中にあるものを、他人にわかるように外に出して理解してもらう必要がある。
基本的にその作業は言語コミュニケーションになるので、文章の書き方、まとめ方の重要性は否応なく高まっている。

■簡単な自己紹介
私は91年から08年まで出版社勤務の編集者だった。雑誌も書籍も両方経験したが、著者が頭から尻尾まできっちり仕上げてきて、こちらは印刷指定だけして印刷所に入れればOKという仕事はそんなに多くなかった。

特に私が好きだったのは、原稿や本を書いたことがないけれども、時代のフロンティアをゆく人を発掘して世に送り出すことで、そういう人たちは、当然のことながら雑誌の原稿や本を書く作法がわからず、文章力も足りない。そこで、多いときには単行本の3分の2ぐらい私が書いていたりした。確かに周りの同僚でそんな仕事をしている人間はいなかったが、成績はまずまずだったはずである。

「他流試合」は04年頃から始めた。よその雑誌に原稿を書くようになったのである。06年末には月刊総合・情報誌への執筆を開始した。現在は、編集業に加えて雑誌への執筆や他人名義の本(いわゆるゴースト)も多数手がけており、私自身の名義の本も準備中である。
(私が今までどんな仕事をしてきたかはここ

■批判に耐えうる文章を書こう
続けていると、原稿の「メソッド」のようなものが見えてくる。それを自分の中で検証したり修正したりしながら、安定したスタイルを作っていった。
これはただ「こうすればうまい文章が書ける」というものではない。雑誌や書籍の売り上げの低下、ネットの台頭には、オールドメディアの書き手として危機感を持っている。どうすれば「生き残れる」文章が書けるのか、考え続けた。

レベルとしては、調査報道記事を設定している。たとえば、あらかじめ資料が配られ、説明された内容を間違いないように書けばいい新製品発表会の記事とは異なり、ある事象について問題意識を設定し、取材し、場合によっては批判を加え、当事者から訴えられるリスクをも考えた記事ということだ。

つまり、目指すのは「批判に耐えうる文章」ということだ。これができれば、社内の報告書や企画書でも、360度からの疑問や批判にあらかじめ答えることができ、自分の狙いをより適確に相手に伝えることができるだろう。
そこで以下、ご披露する次第。ご批判いただければ幸いである。

■「生き残るための」文章、その5つのメソッド
私が頭の中に入れているメソッドは以下の5つ。どんな仕事でも、これを基本に、適宜バリエーションを展開することでやっていける。

1.●まず構成
2.●5W1Hは基本の基本
3.●仕組みを明らかにせよ
4.●人間理解が大切
5.●これからどうなる? でしめくくる

次回からは、このメソッドを少しくわしく説明していきたい。
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