スマート革命と囲い込み、フェースブックフォンの戦略はまるで日本のLINE対策みたい!!
<序文>
フェースブックが2013年4月4日にアンドロイドのアプリ関連のプレス・イベントを発表しており、何らかの形のフェースブックフォンが遂に出るとの見方が強まっています。(但し、出ないと言う見方も少しあります)
純粋な自社のプライベートブランドならば、開発・販売、在庫リスクは100%フェースブックですが、今回はアンドロイドOSの修正とアプリの開発のみ担当したのではないか、それならばスマートフォンのハード面でのリスクはHTCなどメーカー持ちと考えられます。この見方が正しければ明らかに投資家対策です。
各テックブログの記事を拾い読みしている時気がついたのは「これはまるで日本のLINE対策のようではないか」という点でした。無論、日本のLINEは昨年末頃から米国に進出した程度であり、本家のフェースブックにとっては痛くも痒くもない存在です。しかし米国には様々なLINE類似サービスが存在し、フェースブックは明らかにそれを意識した対策を打ち出してきています。
国内の大手ソーシャルメディア(例えばミクシィ)が本気でLINE対策に乗り出すと仮定すれば、この位のことをしないと対抗できないと言うメッセージかもしれません。
★★Software leak shows the likely Facebook phone specs and features
★★US iPhone users can now make free calls through Facebook
<出所:ギガオム>
アンドロイドポリスに載った画面の数々
<出所:アンドロイドポリス>
メッセンジャーサービスのせめぎ合い
<出所:テッククランチ>
700万人参加のプライベートソーシャルメディアのPathは
ステイッカー=スタンプを有料販売
<出所:Path>
ツイッター6秒以内動画を採用(人気の映画XMEN派生作品での映画用広告活用)
これはスナップチャットへの対抗策と考えられている。
<出所:テッククランチ>
<フェースブックフォンのスペックは?>
アンドロイドポリスによれば以下のような仕様だそうです。最初は台湾のHTCからコードネームが「MYSTUL」と呼ばれる製品が出ます。(codenamed "Myst.")
引用
· anufacturer: HTC
· Model: MYSTUL (Myst_UL)
· Carrier: AT&T
· Platform: MSM8960 (Dual Core)
· Ram: 1GB
· Display: 4.3 inch @ 720p resolution
· Android Version: 4.1.2
· Sense Version: 4.5
· Rear Camera = 5M
· Front Camera = 1.6M
· No SD Card
· Bluetooth 4.0
· Wi-Fi a/b/g/n
引用終わり
また「カタナ」と「ワキザシ(脇差)」と呼ばれる特別のアプリが搭載され、HTCのホームスクリーンの代わりにフェースブックのホームスクリーンが表示されます。注目すべきはグーグルボタンもあります。アンドロイドの統一感を維持する事を前提としたオープンハンドセットアライアンスの規定を守っていると言う証拠でしょうか?(この点がアマゾンやアリババのアプローチと異なります)
またギガオムの記事にはフェースブックによるアンドロイドOSの修正版はサムスンのスマートフォン上でも動くようにすると書いてあります。(Samsung’s TouchWiz customized Android software)
<まるでLINE対策>
さて問題は何故フェースブックはフェースブックフォンを開発する方向に向かったかと言う点でしょう。
フェースブックフォンの前にフェースブックは以下の手を打ちました。
2011年8月 フェースブックメッセーンジャー (無料)
2012年9月 写真のインスタグラム買収完了
2012年12月 スナップチャット対抗のポーク開発
2013年1月 米国とカナダで無料電話開始(フェースブックメッセーンジャーに機能追加)
2013年3月 ニュースフィードを写真中心に変更
2013年4月 フェースブックフォンの発表?
既にご存じのようにフェースブックは株式上場関連の年次報告で「インスタグラムのようなスマートデバイス専用のソーシャルメディアに若者が流れている」と認めています。その結果、上記のような一連の対策を打ち出して来たと考えられます。
無論、フェースブックが一番稼いでいる北米のスマートデバイス専用のソーシャルメディア対策であれば、写真投稿のインスタグラム、メッセンジャーのWhatsapp、1-10秒動画のスナップチャット、無料ビデオ電話のタンゴ、プライベートSNSのPathやタンゴが挙げられます。またツイッターも6秒以内動画のVineなどが好調です。Pathはステイッカーと呼ばれるスタンプの販売を行っています。
これらのスマートデバイス専用ソーシャルメディアは、まだフェースブックのような収益も含めたビジネスモデルの確立まで至っていませんが、次第に若者をフェースブックから奪い始めています。
これらほ北米において日本のLINEの競合相手と考えられるサービスへの対抗措置をとった結果、フェースブックの戦略は一見、LINE対策と思えるようなものになってきました。
<フェースブックはスマート革命を乗り切れるか?>
一人一台のパソコン+ブラウザーの時代の勝ち組であるフェースブックは、一人が七台のスマートデバイスを時と場合によって使い分けるスマート革命の時代を迎えて、若者離れに苦しんでいます。
その特徴はツイッターのような呟きよりも写真投稿であり(カジュアルシフト)、プライバシー問題や親の監視を避ける為の数秒写真や動画であり(プライバシー回避)、現実の仮想の重なり合い(仮想と現実の一体化)などです。
単なるアプリでは不十分と考え、アンドロイドOSにまで手を入れて囲い込みを強化するフェースブックフォンにより、フェースブックはスマート革命を乗り切れるでしょうか?それはまさしくLINE対策そのもののように思えます。