スマート革命の創造的破壊その2、フェースブックが表示を大幅に変更、スマートフォン優先戦略は若者の巣移りの儀式を阻止できるか?
<序文>
フェースブックは現在、スマートデバイス・ファースト戦略を採用し、その為に社員をネイティブアプリ開発トレーニング=ブートキャンプに送り込むなど文化大革命の最中にあります。その文化革命の成果とも言うべき「表示の大幅変更」が発表され、2-3週間かけて全体参加者のニュースフィードを移行するようです。
幾つかのパタン(「最新情報」「すべての友達」「写真」「音楽」「フォロー中」「グループ」)がありますが最も基本的な変更はニュースフィードにおける写真の表示が大きくなり、スマートフォンやタブレットとパソコンを同じ表示形式にしている点でしょう。言わばスマートフォンの表示にパソコンまで合わせたと言ったところでしょうか?大きな写真とパソコン、スマートフォン、タブレットの表示をモバイル・センスに統一した点がポイントです。
従来のフェースブックの複雑な表示のままでは10代にとっては既に古風だと言う訳です。
その背景には10代の若者のフェースブックからの逃亡=巣移りの儀式があります。最高の自分向けの新聞は、若者を呼び戻せるのでしょうか?
今回の変更はフェースブック最大のピンチと言う指摘もあります。
★★ Facebook、ニュースフィードを刷新 “最高の自分向けの新聞”に
★★Facebook Facelift Feeds Mobile Appetite
★★ Facebook’s Riskiest Bet Yet. Can It Uproot A Billion People’s Behavior?
★★Facebook’s Focus On Mobile-Inspired Consistency Is All About Getting Facebook “Out Of The Way
★★ Facebookに魅力を感じない若者たち--その理由を探る
★★Get started with Facebook's revamped News Feed
スマートフォンのテーストを汎用デバイス化し、写真表示を大きくした変更!!
<出所:CNET>
6秒で消える写真のスナップチャトも10代の巣移り先の一つ
<出所:スナップチャット、CNET>
<インスタグラムやタンゴなどに逃亡する10代>
10代の若者が2013年1月に参加者数1億人を達成したインスタグラムや2013年3月に同じく1億参加者を達成したスマートデバイス専用のソーシャルネットワークが伸びています。写真などを中心とした非常にカジュアルなソーシャルメディアです。
ソーシャルメディアは参加者が集団で古い仕組みから新しい仕組みへと一定の期間の後に集団で移動する「巣移りの儀式」を繰り返して仕組みが次第に洗練され、社会に定着して来ました。アースクミーからフレンドスターへ、更にフレンドスターからマイスペースへ、更にフェースブックへの巣移りの儀式とソーシャルメディアの歴史はその繰り返しでした。それが今回スマートデバイスと言うプラットフォームの根本的変更を伴って既に進み始めようとしてでいます。
フェースブックも認めている「10代のフェースブック離れの現象」です。
<ツイッター、グーグル+、フェースブックは皆、同じ方向>
一部のテック系ブログを見ていると今回のフェースブックの顔表示の変更により、先行するツイッター、グーグル+と同じ方向だと指摘されています。結局、スマート革命(パソコンからスマートデバイスへの移行)の中でソーシャルメディアの再発明が開始されたと言う処でしょうか。
その背景にはスマートデバイスの広告売り上げの奪い合いがあります。
<フェースブックのあまりに危険な賭け>
確かに一部の米国ブログが表現しているように過去、勝ち組の良さを吸収してきたフェースブックにとって大きな賭けに出た事は間違いないでしょう。以前、ツイッターの登場の時には140文字の呟きを取り入れるなどフェースブックのアプローチは他社の革新的な技法を吸収して勝ち残ってきました。
しかし今回は前提になっているプラットフォームがスマートデバイス群であり、全く異なります。パソコン上の豊富な情報を乱雑と言う名のもとに一掃し、スマートデバイス向けのシンプルな表示に変更したやり方は、失敗すればフェースブック自体から一斉に巣移りの儀式宜しく若者を中心に参加者が離れる危険もあります。
ツイッターやマイスペースの時には「パソコンからパソコンへ」の巣移りの儀式でした。しかし今回起きている若者のフェースブック離れは「パソコンからスマートデバイス群へ」の移行です。プラットフォームが根本的に違います。
フェースブックなどがスマートデバイス上で誕生したインスタグラムやタンゴ、LINE、スナップチャットなどの方向に追随するならば、そのこと自体がフェースブック離れ、全く新しくスマートデバイス上で誕生したソーシャルメディアへの移行を促進、加速するリスクもあります。
しかしフェースブックはこの賭けに勝たないとパソコンの売り上げ減と共に確実に若者に見放されてしまいます。果たしてフェースブックは賭けに勝てるでしょうか?