スマート革命の勝ち組と負け組、任天堂のWiiUや3DSが予想以上に失速、計画を下方修正の意味!!
<序文>
2013年初から任天堂のWiiUが予想以上に失速し、任天堂は当初販売計画を下方修正しました。まず携帯型ゲーム機の勇、ニンテンドー3DSは年末商戦で不振であり、その結果、売上高が8100億円から6700億円に減る見通しです。(産経新聞)
また日経産業新聞に詳しく出ていますが2013年度の販売台数予測は期初の1750万台が1500万台と修正されました。ソフト販売予測は7000万本から5000万本に変更されました。
またWiiUは年末商戦は検討しましたが、2013年の年明けから販売が落ち込み、そのため、2013年度の販売計画を550万台から400万台に引き下げました。またソフトの販売予測本数も800万本下げました。(日経産業新聞)
連結営業損益は期初の200億円の黒字予想から200億円の赤字予想と下方修正されています。(但し最終損益は為替差益で140億円の黒字)(日経産業新聞)
任天堂のWiiUは既に原価に近い値段で売られていると言う話ですが一体、何が問題なのでしょうか?
★★ Nintendo Lowers Forecast for Wii U Sales
★★ 任天堂、2年連続の営業赤字に 年末商戦大苦戦で下方修正
★★ 「Wii U」値下げの選択肢はない=岩田任天堂社長
<出所:ニューヨークタイムス紙>
<ひと粒で二度美味しい専用ゲーム機の勝ち組の春>
アップルのiPhoneなどスマートデバイスが普及する前には、専用ゲーム機業界は、モノ支配論理が中心であり、ゲーム機メーカーの勝ち組はハードウエア機器で稼ぐとともにパッケージ化されたCDのゲームを一本8,000円程度で販売して稼いでいました。
ゲームをモノ=CDパッケージとして販売していた訳です。
判り易く申し上げれば機器とソフトの二つのモノの相乗効果で稼ぐ「一粒で二度美味しいおまけつきグリコ」のビジネスでした。その勝ち組の典型が任天堂でした。そして横井軍平氏に代表される枯れた技術の水平思考でWiiを輸出し、大いに外貨を稼いでいました。
<サービス支配論理の創造的破壊>
しかしスマートデバイスが普及し「モノ支配論理」から「サービス支配論理」に流れが変わるととんでもない事が起こり始めました。一旦、購買されたゲームはロッカーサービスに預けられたり、月次の購買契約の下でサービスとして管理される方向に動き始めました。この流れは音楽や電子書籍、映画などに比べてゲームの世界は比較的ゆっくりですが、確実に出てきています。
アップルやアマゾンでアングリバードを買えば、様々な関連機器でゲームを買いなおさなくてもそのまま使えます。スマートフォンで買った電子書籍がそのままタブレットで読めるのも同じ理屈です。
さてそう言った動きの前に専用ゲーム機メーカーの場合には、ゲーム機を刷新すれば(WiiからWiiUへ)、生活者はゲームをモノ=パッケージとして一から買いなおさなければなりません。それに対応するにはゲーム機メーカーは、ゲーム機のプラットフォームの上で余程、魅力的なゲームを短期に多数開発する必要があります。任天堂の販売計画下方修正の理由としてゲームの開発遅れが挙げられています。従来のゲームが安いサービス下でそのまま引き継がれると言うマジック「サービス支配論理」に対抗するには、物凄いゲームの開発スピードを要求されます。これに任天堂はついていけませんでした。(2013年にはソニーもPS4で、マイクロソフトもXbox720で同じ経験をする可能性があります)
さてCES2013ではスチームボックスなどの新しいコンソールゲーム機が提案され、夏には出荷される見込みです。スチームボックス(値段は4-5万円飲み込み)はパソコンのオンラインゲームをそのままテレビで楽しむ為のスマート機器です。(リナックス版、Windows版、アンドロイド版などを各社が計画) つまりスチームボックスを買えばこれまで楽しんでいたパソコンのオンラインゲームがそのまま楽しめます。スチームは参加者数5千万人、ゲーム数1800と言われています。サービス支配論理にそった動きです。今後WiiUはこう言ったゲーム機と渡り合う必要があります。
そのスチームボックスが最大のライバルとしてあげる名前の一番手は任天堂でもなく、マイクロソフトでもなく、ソニーでもなく、なんとアップル(アップルテレビ)です。
モノ支配論理から抜け出せない専用ゲーム機メーカーには冬の時代がやってきました。