スマート革命と知財、録画補償金裁判で東芝勝訴、ロケフリが広まるのか!!?
<序文>
2012年11月8日、最高裁が録画補償金訴訟で「約1億4千万円支払え」と東芝を訴えていた著作権団体の「私的録画補償金管理協会」の敗訴を言い渡しました。「録画補償金制度には強制力が無いと言う判断」です。この録画補償金制度は録画機などのデジタル機器の販売価格に著作権料を上乗せして支払う制度です。1992年の著作権法改正に伴って導入されています。
録画機の1%の価格を録画機を買った視聴者がメーカー経由で「私的録画補償金管理協会」(SARVH)に支払うと言う制度でした。視聴者(消費者)に代わってメーカーが収めると言う制度ですから、最後は消費者が負担します。
東芝はダビング10と言うコピー制限制度があるため、支払う必要はないと主張してきました。
この制度自体はドイツや米国にもあり、おかしな制度ではありません。
最高裁による録画補償金制度には強制力が無いと言う判断は、東芝などのメーカーも視聴者にも実質的に録画補償金を支払う義務が無いと言う意味に解釈されます。録画補償金とは単なるお布施と言う意味に解釈されます。
その結果、「私的録画補償金管理協会」(SARVH)に補償金を支払わないメーカーが続出すると見られています。
しかし影響はそれだけで終わるのでしょうか。
★★ 録画補償金訴訟、東芝勝訴が確定 最高裁がSARVHの上告棄却
★★ 私的録画補償金の拒否、東芝の勝訴確定 最高裁
★★著作権法改正に伴う『Slingbox PRO-HD』について
★★ スリングボックス
(地裁での判決結果の速報の様子、その後最高裁で判決は確定)
<出所:itmedia>
<ロケフリ実施を加速するだろう>
ロケーションフリーは米国では完全合法、日本においては業者による代行業務は違反、一方個人が実施する場合は合法となっています。しかし放送業界が嫌な顔をしたり、録画補償金制度による支払い義務もあり、それらが心理的な足枷となって国内の大手のメーカーはロケフリ機器の販売を控えていました。全録と言ってもそのカバー範囲はパナソニックのお部屋ジャンプリンクなどに代表されるように自宅内のみのサービスでした。
一方米国から輸入されたスリングボックスなどは、外部から録画をスマートフォンなどに引き出し、楽しめるなどのロケフリを自由に実施しています。ソニーのロケフリ機からの乗り換えキャンペーンまで実施しています。
筆者は今回の録画補償金制度の形骸化に勢いを得て、東芝などの各社は全録などの録画機をホームクラウドサービスに模様替えして、ロケーションフリーサービスを実施する可能性が高まってきたと思っています。アライブなどのコントロールがありますが、こちらにも強制力は無いため、インターネット選挙解禁などと一緒で早晩、総崩れになるような気がします。
さてどうなるんでしょうか?