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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

ゴリッとかガリッてのが重要なんだよね

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先日作成していたプロモビデオで、バックに流れる音楽については、ちょっと趣味の世界に走らせてもらった。ナレーションをじゃましないで、それなりにまとまる音楽。かつ著作権やら使用料の問題もクリアするとなると結構面倒くさい。じゃあ作っちゃえと、日頃使っている楽譜入力ソフトのMIDI出力をWAVEに変換して利用することにした。

この種のBGM作成は、算数である。簡単なテーマを決めたらテンポが確定するので、ビデオの長さに合わせて小節数を決める。今回のテンポは80。4拍子なので1小節3秒という計算になる。つまり2分のビデオなら40小節書けばよいのだ。

あまり時間をかけず、かつナレーションをじゃましない、ということで、反復音楽的なものにした。ただ、後半つい盛り上げすぎて、ナレーションにかぶせてみると終わりの方がやかましい。仕方がないので、全編そんなに盛り上げずに静かに進む別バージョンを録り直した。

反復音楽はライヒあたりが有名で、楽譜入力ソフトを使うとコピペでいけるから入力も楽だ。選択したブロックだけ「移調」なんて機能もあるから、同じ音形をいろいろ展開するときも、一から入力しなくてよい。

編成はフルオーケストラを使ったのだが、画面が狭くて全体を見通せない。作曲家の吉松隆氏は、同じソフトを使ってオケ譜を作っているらしいけど、縦型ディスプレイが必須なのだそうだ。

ところで、MIDI出力ということで、生のオーケストラが演奏するのと同じ効果を期待すると具合が悪い。特にブラスの厚みとか、木管楽器の息の吹き込みなどはどうしようもない。弦楽器はいかにもシンセサイザーみたいな音色なので朗々とした旋律には向いているかもしれないが、メリハリがない。従って、MIDI出力を最終成果物とする今回の作業では、生オケを対象にしたのとは違うオーケストレーションのテクニックが必要になった。

そもそもヴァイオリンなどの弦楽器は、弓で弦をこすって摩擦によって音を出すわけで、こするということは、速くこすったりゆっくりこすったりという微妙なニュアンスがある。また、こする前に引っ掛けたり、ぶつけたり、叩いたり、すばやく離してみたりと、千差万別。これを単純に電子的に再現することはできるかもしれないが、前後の文脈やらそのときの感じ方によって、微妙に調整する人間の感性まではどうにもならないだろう。

とはいえ、なんらかのアーティキュレーション設定によって、アタックのゴリッという感覚とか、激しい音形でのガリガリッていうニュアンスぐらいほしいよなぁ。

Score

ちなみにこちらは、MIDI出力用ではないオケ版のラスト数小節。弦楽器の粒と木管楽器の上昇音形のクレッシェンドが効果的に出るはずなんだけども。

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