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「自分だけの武器」を持たねば、フリーランスとしては生きていけない。「オリジナルの戦略」を描けなければ、コンサルタントは務まらない。私がこれまで蓄積してきた武器や戦略、ビジネスに対する考え方などを、少しずつお話ししていきます。 ・・・などとマジメなことを言いながら、フザけたこともけっこう書きます。

【フラワーバレンタイン】 男性が女性に花を贈るコツ&メリット

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 勘違いとは恥ずかしいものだが、事実を知らぬままにやり過ごしているオトナは案外多い。例えば〝手皿〟。箸でつまんだ食べ物を口まで運ぶ際、左手を上に向け、まるでお皿のように食べ物の下に添える仕草だ。一見すると上品なようだが、実は、手皿はマナー違反とされる。

 あるいは「○○させていただきます」という敬語。もっとも丁寧な言い回しと考えている人は多く、様々なシーンで乱用されているが、これも勘違いのひとつ。本来は〝自分の行為を許してもらう〟際に用いる言葉。つまり、自分が許してもらう必要のない行為には、不適切となる。

「今日は成田市に来させて頂きました!」と、芸能人がレポートするTV番組を見て、ボクは〝させていただきます病〟もついにここまできたかと、唖然とした。彼は、成田市に許してもらいたいのか。TVを観ている視聴者に許してもらいたいのか。はたまた、起用してくれた番組ディレクターへのお許し?

 手皿にしてもオカシな敬語にしても、ビジネスにおける勘違いは、ときにイメージダウンにつながりかねない・・・。

「日本流バレンタイン」の勘違い

 さほど重要ではないが、マメ知識として覚えておいた方がいい勘違いもある。それは「日本のバレンタイン」。2月14日、年に1度の愛の告白チャンスとして、「女性から男性にチョコレートを贈る」習慣だ。ボクは、小学生の頃に自然と覚えた記憶があり、バレンタイン当日は、期待と不安で学校の下駄箱を覗いたものだ。

 ところが、この習慣は日本独自のスタイル。いわば、日本人だけの〝特別に大きな勘違い〟であり、世界標準のバレンタインは、その様相はかなり異なる。

 まず、日本では女性から男性へという一方通行だが、世界標準は、男女どちらからでもOKの〝双方向〟スタイル。女性から男性への告白があれば、同じように、男性から女性へも行われる。さらに、バレンタインの際に渡すのはチョコレートというのが日本なら、世界では、花でもケーキでもカードでも、何でもいい。相当に自由なのが、本来のバレンタインである。

 なかでも欧米のバレンタインは、かなりシャレている。というのも日本とはスタイルも贈り物もまったく異なり、「男性から女性に花を贈る」のが〝主流〟なのだ。小粋なファッションに身を包んだイケメンたちが、花束を肩に抱えて街を歩く姿が目に浮かぶ・・・。

「恥ずかしくて、とても真似できないよ」と思う男性が、大半ではなかろうか。でも、もし日本のバレンタインが世界標準だったなら、気取ったコトが苦手とされる日本人男性も、今とは少し異なったのかもしれない・・・。

 日本のバレンタインがガラパゴス化した理由は諸説あるが、いずれにしても、食品メーカーなり小売りなり、チョコレートを売りたい業界のチカラが働いた、というのは有名な話。業界からすれば年に1度、自動的に、巨大な売上げが約束されているワケだから、これほど卓越したマーケティングはないだろう・・・。

「フラワーバレンタイン」というマーケ戦略

「世界標準のバレンタインは、男性が女性に花を贈るんだよ!」と、最近、声を上げはじめたのが花業界だ。それもそのはず、いつまでもチョコレートばかりに〝甘い思い〟をさせるワケにはいかない。なぜなら、そもそも王道のプレゼントは、花なのだから。

 そんな経緯から、花業界は、日本にも新たなバレンタインを定着させよう、というよりは、本家バレンタインの復活へと動き出した。「フラワーバレンタイン」と称し〝男性から女性に花を贈ろう〟と呼びかけているのだ。始まったのはつい最近、2011年のことである。

 ちなみに、キングカズこと三浦知良氏が「Mr.フラワーバレンタイン」に就任し、この活動をサポートしている。ファッショニスタとしても有名な彼は、まさに花束が似合うオトコ。新しい活動のアイコンとして、彼ほど相応しい人はいないだろう。

 そんな流れを最近知ったボクは、「よし、フラワーバレンタインに便乗しよう!」と、思い至った。ひとつは、もちろん、女性に花を贈るため。ボクには結婚して十数年になる奥さんがいるが、「ありがとう」だの「好き」だのといった甘い言葉を、ほとんどかけた経験がない。照れるのだ。その代わりに、年に1度は花を贈ろう、と考えたのだ。

 もうひとつ、便乗しようと思ったのは「オトコに花を売る」「花の価値を広める絶好のチャンス」と気づいたから。というのも、ボクは今、お花を売っているのだ・・・。

 別に、エプロン姿で花屋の店頭に立ち、バラやカーネーションを売っているワケではない。花屋のブランドプロデュースをしているのだ。それは、小売業トップ「イオン」が、新規ビジネスとしてチェーン展開する花屋ブランド『ルポゼ・フルール』。つい最近始めた仕事であり、これから本格的に関わっていこうと、現在いろいろ画策中なのだ。

 さて、新規ビジネスにおいて特に重要なのはマーケティングであることは、言うまでもない。「誰に、何を、どのように売るか」。この戦略次第で、事業は右にも向かうし左にも向かう、つまりは、方向性を決定づける羅針盤となるからだ。

 戦略は通常、幾つも用意するものだが、フラワーバレンタインはそのひとつの契機になるだろう。マーケが秀逸であれば、かつてチョコレートがそうだったように、新たな〝花消費スタイル〟を生み出す可能性を秘めているためだ。つまり「男性から女性に花を贈るのが正しいバレンタイン」と、浸透させること。

 ただし、それには膨大な時間と緻密なシカケが欠かせず、何よりまずは、マーケットの現状を把握しておかねばならないだろう。なぜなら、日本人男性という「消費者」、花という「商品」。この両者には、これまでほとんど〝接点〟がないため、かなりの難儀が予想されるのだ・・・。

「女性はホントに花好き?」と疑う、男性の勘違い

 以前、とあるパーティーで、ボクは花束をもらった。両手で抱えると、顔が隠れてしまうほど大きな花束だった。ただ、厳密に言えば、それはボクへのプレゼントではなかった。「花束が余ってますので、持って帰ってくれません?」と、主催者から無理に押し付けられた花束。

「困ったなあ・・・」

 時間は、終電間際。恐らく、地下鉄の車内はかなり混んでいるはず。そんな大きな花束を抱えて乗ったら、きっと迷惑に違いない。でも、一番恐れたのは〝花束を抱える自分〟の滑稽な姿。日本では、花束を抱えて歩くオトコは、かなりのレアな光景だろう。

 運の悪いことに、パーティーだったため、ボクの衣装はいつにもまして派手だった。ジャケットは、少しラメ入り。ここに花束が加われば、うまくいってホスト。ヘタすれば〝気取った勘違い野郎〟と見られてしまう。

 せめてもと、カッコイイ花束の持ち方を考え、まずは片手で花束を肩にかかげてみた。イメージは、キングカズだ。が、これはよろしくない。一般人だけに、余計に気取って見えてしまう。次に試したのが、茎の部分を上に、花束を下にして持つ方法。これは花束であることは目立たぬが、幅が80センチとかさばるゆえ、乗客にもみくちゃにされて花をダメにしてしまう。

 そして、ひとつの妙案を思いついた。顔が隠れるほど巨大な花束なのだから、思いっきり花束で顔をお面のように隠してしまう、という逆転の発想だ。名付けて『花仮面戦略』。実際、これは良かった。満員状態でも花は痛まないし、誰とも視線が合わないので、恥ずかしさも消えた。

花仮面4.jpg (花仮面 これで恥ずかしくないでしょ?)

 さて、無事に持ち帰った花束。そこからボクは、思ってもみない〝花の効果〟を知ることになる。

「うわあ! ステキ! ありがとう!」

 先に帰宅していた奥さんは玄関を開けるなり、ボクの立派な花束に、意外なほどの感動を示した。

「いや、君へのプレゼントでなく、押し付けられただけで・・・」

 という、ボクの弁解も聞かず、奥さんはルンルン気分でリビングに戻ると、「どれが似合うかな」と言いながら、さっそく花瓶探しを始めているのだ。ちょっと驚いたのは、彼女の表情だった。

 花束をもらっただけなのに、これまで見たこともない笑顔なのだ。目は、まるで少女のようにキラキラ。実際、不思議なことに、10年ほど前の奥さんを見ているような錯覚に襲われた。よほど嬉しかったのか、少し涙ぐんですらいた。考えると、理由はどうあれ、ボクが奥さんに花束をあげたのは、これが初めてのコトだった。

「女性って、ホントに花が好きなんだ・・・」。このとき、ボクは〝花の効果〟を初めて実感した。

 それまでは「女性への贈り物=花」という当たり前の構図に、実は、相当の疑問を抱いていた。つまり、「花を贈ればすべての女性が喜ぶ」は、ある種の〝神話〟だと思っていたのだ。花が嫌いな女性や、興味ない女性もいるだろうし、もっと勘繰れば、喜ばないと女性らしくないので、なかには喜んだフリをする女性もいるのではないか、とすら考えていた。

 しかし、奥さんがホントに感激する光景を見るにつけ、それはボクの〝完全なる勘違い〟と気づいた。神話は生きており、花はやはり、史上最強の贈り物にして、男性が最初に選ぶべきアイテムなのだ。

 これ以来、ボクは、奥さんの誕生日には花を贈ることにした。もちろん、あのキラキラした笑顔を見たいのだ。そして、花束を持って電車に乗る際は、必ず「花仮面戦略」を実践している・・・。

「オトコは花に興味ナシ」という、女性の勘違い

 すっかり花を贈るのが習慣となる一方で、ボク自身は、女性から1度も花をプレゼントされないままだった。「オレはオトコだし、花なんて要らないよ」と、ずっと思っていた。ところが2年前、40歳という節目の誕生日の朝、ボクは生まれて初めて花束をもらった。それは母親から、宅急便で送られてきた。

「あれ? 意外と嬉しいかも・・・」

 もしかしたら、ボクはそのとき、目がキラキラしていたのかもしれない。ニヤニヤするボクを見て、「でしょ? オトコもオンナも、花は関係なく嬉しいものなのよ」と、奥さんが呟いた。恥ずかしながら、オトコのくせに、ボクは花をもらって感動してしまったのだ。

 世の女性の多くは、「オトコなんて花に興味あるはずないわ!」と、思い込んでいるのではないだろうか。その証拠に、女性から男性への贈り物といえば、財布やネクタイや、実用的なモノばかり。しかし、それは女性の勘違いと言っていいだろう。

 腹が出たダンナさんに、真っ赤なバラの花束を自宅で手渡す・・・。ビジュアル的にはややミスマッチだが、贈られた方は、案外喜ぶかも。照れたお父さんを見て子供がはしゃげば、それもまた、花効果。

 もしくはバレンタイン当日、彼氏のオフィス前で待ち合わせという彼女。いきなり花束を渡せば、きっと彼氏は面食らうに違いない。相当に焦るだろう。それでも、予想だにしないサプライズは、やはり嬉しいもの。「帰りの電車が恥ずかしいじゃん!」と戸惑う彼氏には、必殺の「花仮面戦略」を教えてあげればいいのだ。

「ルポゼ・フルール」のフラワーバレンタイン

 昔、ファッション業界が「カジュアルフライデー」という運動を推進していた。金曜日くらいは職場でも、ジャケパンなどカジュアルな格好をしようというものだ。その一方で「ドレスアップマンデー」と称し、月曜日はキッチリした装いを推奨する、という試みもあった。

 何でもそうだが、新しい文化や消費スタイルは、浸透するのに時間がかかるし、シカケた通りに動く方が稀である。結局、新しいファッションとして根付いたのは、クールビズくらいのものだろう。

「花という商品は、日本では、季節によって売上げがまったく異なるのですよ」とは、イオンの花屋「ルポゼ・フルール」の担当者の話。クリスマスやお正月、母の日など、特定の日や時期に集中するのだそうだ。

 もったいない話である。男性も女性も、もっとうまく花を利用すれば、コミュニケーションに役立ったり日常を豊かにしたり、〝花効果〟を高めることができるはず。裏を返せば、花という商品の使い道やメリットをきちんと消費者に提案できれば、まだまだ伸びる分野でもあるということだ。

 例えば、花はビジネスでも有効なツール。某外資系企業に務める友人は、昔から花を効果的に使っており、女性だけでなく男性にも贈っているという。そんな営業マンは数少ないため、相手にかなりのインパクトを残せるそうだ。この戦略が奏功したのか定かでないが、彼は、何年もトップクラスの成績を収めている。

hana3.jpg (トップビジネスマンは、お菓子に見せかけて花を贈る)

 

 さてさて、2014年のフラワーバレンタイン。「ルポゼ・フルール」では、男性から女性に花を贈るゲリライベントを予定している。ゲリラというだけあって詳細はナイショだが、担当者いわく「ちょっと泣けるかも知れないですよ」とのこと。

 ちょっと泣きたい人は、2014年2月11日(火)、今話題の超巨大ショッピングモール「イオン幕張新都心店」へ。イベントは午前に1回、午後に2回の予定。

 そして、ちょっと泣きたいワケではないが、ちょっとお花が欲しい・・・。そんな人には、お花のプレゼント企画もある。「アプローズ」や「ムーンダスト」ほか、トータルで1000本ほどのお花を無料で配るのだ。

 アプローズは伝説の青いバラ、ムーンダストは青いカーネーション。どちらもかなり希少で、セクシーな雰囲気が香る逸品だ。1本でも存在感があるので、相手にココロが伝わる贈り物となるだろう。(画像提供:サントリーフラワーズ)

アプローズ3.jpg (アプローズの花言葉は‶夢かなう〟。ウ~ン、妖艶な感じ)

 

ムーンダスト2.jpg (ムーンダストの花言葉は‶永遠の幸福〟。控え目にキザな感じ)

 幕張には行けないけど、「たまには花でも贈ってみようかな」と閃いた人は、最寄りのイオンもしくは「ルポゼ・フルール」を覗いてみてはどうだろう?

ワクワク花束2.jpg (女性ワクワクの王道花束 by ルポゼ・フルール)

 

 10年後のバレンタイン、花束を抱えて歩く男性が街に溢れている・・・。ボクは、そんな風にお花を売る戦略もアリかな、と思っている・・・。

(荒木NEWS CONSULTING 荒木亨二)

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