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「自分だけの武器」を持たねば、フリーランスとしては生きていけない。「オリジナルの戦略」を描けなければ、コンサルタントは務まらない。私がこれまで蓄積してきた武器や戦略、ビジネスに対する考え方などを、少しずつお話ししていきます。 ・・・などとマジメなことを言いながら、フザけたこともけっこう書きます。

あの角川会長が世に放つ経済誌「アスキークラウド」本日創刊。で、連載開始。

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「松田聖子が太陽なら、中森明菜は月である」。知人の言葉に、なるほど言い得て妙と、感心した。1980年代のアイドル全盛期、この2人の人気はすさまじいものがあった。ちなみに私は、断然キョンキョン派だった。

 当時の女性アイドルといえば「ルックスはいいが、歌唱力はイマイチ」というのが一般的。それで良かったし、むしろそれが良かった。そんな状況において「歌の上手いアイドル」として並び立ったのが、松田聖子と中森明菜。「聖子チャン派」「明菜派」という言葉が生まれたように、世の男性の多くはどちらかを熱狂的に支持した。

 聖子チャンはいつもにこやかに微笑み、明るい曲を歌うことが多かった。一方の明菜はどこか陰りを浮かべた表情で、大人っぽいというか暗めの歌で勝負した。こうしたイメージ戦略を振り返ると、まさしく松田聖子は太陽であり、中森明菜は月であった。

 そんなことを考えながら、私にはもうひとつ、決して忘れることのできない〝特別な存在〟があった。それは薬師丸ひろ子と原田知世の2人。同じくアイドル全盛期に現れた歌手だが、若くしてすでに、アイドルと呼ぶには相応しくないオーラを身にまとっていた。松田聖子が太陽、中森明菜が月なら、彼女らはまるで〝月光〟のように妖しく輝いていた。

 薬師丸ひろ子は、映画「セーラー服と機関銃」で一躍脚光を集め、彼女が歌った同名タイトルの主題歌は社会的なヒットとなった。その2年後、映画「時をかける少女」に主演したのが原田知世。やはり映画は大成功を収め、彼女が歌う主題歌も同じくヒットした。

 つまり、この2人の出身は女優であり、そもそも歌手ではなかった。しかしその他の女性アイドルと同世代、そして同じような歌番組に出演していたため、アイドル扱いされることが多かったのも事実。そして、この2人を世に送り出したのが角川書店である。

「彼女たちは別格だよ。アイドルではない」

 小学校の高学年だった私は子どもながらに、世間が抱く彼女らのイメージに反発した。と同時に、

「角川書店って会社は売り方が絶妙にウマイな」

 と、やはり子どもながらにその販売戦略に感銘を受けた。

 角川書店という名の通り、もともとは出版社であるが、もはや出版社でないことは明らかだった。オーデションを行って無名の新人を発掘する。すぐさま主演女優として抜擢し、映画をヒットさせる。さらには歌手デビューも果たす。

 この一連の戦略があまりにもスムーズで、子どもから大人までがすっかりハマった。いわゆる「角川商法」と呼ばれ、マーケティングの成功例であることを知ったのは大人になってからである。それでも30年前、初めて薬師丸ひろ子や原田知世をテレビで観たときの衝撃は、今でも鮮明に残っている。

 数年前、私は「光GENJIは不運だった・・・」というブログを書いて、ジャニーズ事務所のマーケティングの秀逸さを解説した。マーケティングの最終目的は「市場を自ら創り出すこと」であり、それには「時代の先読み感覚」が優れていなければならないと説いた。

 さて、コンサルタントとしてマーケティングを手掛けて十数年。今さらながらに痛感するのは、ジャニーズ事務所にしろ角川書店にしろ、あるいはアップルにしろ、最終的には〝神がかったチカラ〟がマーケティングには必須である。それは企業としての組織体かもしれないし経営者かもしれないが、いずれにしろ絶対的な企業カラーである。

 半年ほど前、そんな角川会長が新しく経済誌を創刊するとリリース発表で知った。コンサルタントとしては、もうそれだけで興味津々となった。子どもの頃の〝あの角川〟がすぐさま蘇り、「また何か新しいコトをやってくれるのか?」と、期待が膨らんだ。

 その発表直後のことである。私のもとに驚きのオファーがきた。

「角川会長が来春、経済誌を創刊します。連載を書きませんか?」

 その名は「アスキークラウド」。本日創刊。どんな先読み感覚をみせてくるのか、楽しみである。

 私の連載小説は、「それでもボクは会社にイタいのです」。創刊号よりスタート。

(荒木NEWS CONSULTING 荒木亨二)

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