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社会活動の場としてのインターネット、アンケート結果から傾向が明らかに

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「革命」の原因を作ったのか、それともそれを増幅させただけなのかという議論が続いていますが(参考記事)、チュニジアの政権崩壊においてソーシャルメディアが抗議活動に影響を与えたことは間違いないでしょう。ただ改めて例を出すまでもなく、ネットは様々な社会活動を支援する場所になっていることは、多くの方々が認識していることと思います。そして実際に、ネットユーザーの方が様々な社会活動に参加し、その活動にネットを活用しているという調査結果が出ています:

The Social Side of the Internet (Pew Research Center’s Internet & American Life Project)

お馴染みPew Research Centerの調査(調査期間は2010年11月から12月まで、対象は18歳以上の米国人2,303名)。従って米国を対象としたものになりますが、ネットと社会活動の関係について、興味深い情報を提供してくれています。

まず何らかのグループ活動に参加する米国人の割合ですが、非ネットユーザーよりもネットユーザーの方が高かったとのこと。対象者全員では参加率が75%だったところ、非ネットユーザーのみの場合は56%、ネットユーザーの場合は80%だったそうです。特にソーシャルメディアユーザーの場合はこの傾向が強く、SNS利用者で82%、Twitter利用者で85%という結果になっています。

具体的な行動についての結果は以下の通り:

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(過去30日間における行動についての設問。上から「あなたが携わっているグループの集会やイベントに参加したか」「あなたが携わっているグループのためにボランティアで活動したか」「あなたが携わっているグループに金銭的な支援をしたか」「あなたが携わっているグループで指導的な立場に立ったか」「これらの活動のいずれか1つでも行ったか」となっており、YESと答えた中でネットユーザーが紺色、非ネットユーザーが水色で示されている。)

ただこの点については、ネット、特にソーシャルメディアを使っているから社会的になったのか、社会的だからそうしたツールを使っているのかは明らかではありません(恐らく両方の理由が影響を与えているのでしょう)。しかし少なくとも、ネットが社会活動の場において、様々な形で活用されているという傾向が続く設問から明らかになっています。例えば、

  • グループ活動に携わっている人の48%が、彼らのグループはFacebookをはじめとしたSNSサイトにページを開設していると回答
  • グループ活動に携わっている人の42%が、彼らのグループはテキストメッセージを使用していると回答
  • グループ活動に携わっている人の30%が、彼らのグループはブログを開設していると回答
  • グループ活動に携わっている人の16%が、彼らのグループはメンバー間のコミュニケーションにTwitterを使用していると回答

という結果が出ているとのこと。またグループ活動に参加しているTwitterユーザーのうち、63%が彼らのグループについての最新情報をTwitter上で読んでおり、21%は彼ら自身が情報をTwitter上に投稿しているそうです。他にも社会活動およびその参加者達とインターネットの関係について、興味深いデータが収められていますので、興味のある方は全文に目を通してみて下さい。

ネットは人々を結びつけ、彼らの行動を促して行く。1つの理想としてこれまでも語られてきたことですが、ソーシャルメディアなど新しいツールの普及により、いよいよそれが現実のものとして現れてきているのではないでしょうか。チュニジアの事件は、その極端な現れかもしれませんが、他の人々も同じようにつながり、行動できるという点で決して特殊な事態ではないと思います。ネットが媒介する様々な社会活動を、今後数多く目にすることになるのは間違いないでしょう。

【○年前の今日の記事】

ネットにシフトするCNN (2009年1月19日)
本質は、タイトルが決める (2007年1月19日)

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