オルタナティブ・ブログ > シロクマ日報 >

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

iPad日刊紙"The Daily"はキュレーションの要素を含むものに?

»

ご存知ルパート・マードック氏が率いるニューズ・コーポレーションと、米アップル社が協力して、iPad専用の日刊新聞"The Daily"の刊行を進めていることが以前報じられていました:

iPad日刊紙「The Daily」登場か - News Corp.が100人体制の編集部を編成 (マイコミジャーナル)

米Appleとメディア大手の米News Corporationが組んで、iPad専用の日刊新聞を発行する計画が話題になっている。発端は11月18日(現地時間)のWomen's Wear Daily (WWD)の報道で、ベータ版を来月中、1週間99セントで1ヶ月の購読料が4.25ドルとなる正式版の提供を来年2011年初頭にも開始するという。この「The Daily」と呼ばれる日刊紙では、すでにNew York Postの編集者をはじめとする各方面の著名人を多数引き抜いた100人体制のスタッフを組織しており、新メディア攻略に向けた準備を着々と進めているようだ。

"The Daily"とはなかなか挑戦的な命名ですが、この「iPad日刊紙」がいよいよ1月19日に発表されるのではないか、とのウワサが流れています:

Steve Jobs to join Murdoch on stage to unveil iPad paper (Yahoo! News)

The two media moguls will appear together at the San Francisco Museum of Modern Art, according to a source familiar with preparations for the event. The launch date is expected to be Jan. 19, but that may change.

発表イベントの関係者によると、メディア界の有力者である2人(※ルパート・マードックとスティーブ・ジョブズのこと)がサンフランシスコ近代美術館に登場するとのことだ。発表日は1月19日と目されているが、変更される可能性もある。

The Day of The Daily: Murdoch’s iPad Thingy Coming Jan. 19 (Forbes)

The debut can’t come soon enough for The Daily’s staffers, who for weeks have been engaged in full-scale dry runs, cranking out dummy issues for what I’ve been told is a distribution list of 1,000 privileged readers.

"The Daily"のスタッフは何週間にもわたって大規模な予行演習を行っており、その中で作成された記事は、特別に選ばれた1,000人の読者に配布されているそうである。

ということで、既にクローズドベータのようなことが行われているとの情報もあります。19日が正解かどうかは分かりませんが、近いうちに発表されることを期待しておきましょう。

で、もう1つ。発表日とは別に、こんな情報もあります:

The Best ‘The Daily’ Rumor You’ve Heard Today (Fimoculous)

However, the rumor I’ve heard is even crazier: there will be a website, but there will be no homepage, and everything will be blocked from search engines. That means: articles are there, but you can only find them if someone links to it.

しかし、私が聞いた噂はもっと驚くような内容だ。"The Daily"にはウェブサイトがあるのだが、ホームページというものは存在せず、検索エンジンはブロックされるとのことだ。つまり記事は存在するのだが、それを見つけるためには誰かにリンクしてもらうしかないのである。

マードック氏のこれまでの言動から、検索エンジンをブロックするという点は驚きではありませんが(そもそもiPad専用の新聞を目指しているわけですし)、「ホームページ的なものがない」という点が気になります。とっさに最近のキーワード「キュレーション」(美術館のキュレーターのように、あるトピックに詳しい人が情報を取捨選択し、その結果を共有すること)が頭に浮かんだのですが、Flipboard(紹介記事)やMontage(紹介記事)的なアプローチで記事がまとめられているというスタイルになるのでしょうか?

少なくともジョブズ氏が絡んでいるのであれば、単に紙の新聞をiPadに移行しただけで終わるはずがないでしょう。少なくとも何らかのソーシャル性というか、あるユーザーの行動が他のユーザーにも影響するような仕掛けが盛り込まれることを期待しているのですが、果たしてどんな「新聞」が生まれるでしょうか。

【参考記事】

キュレーション・ジャーナリズムとは何か (佐々木俊尚公式サイト)
「情報過多の時代」の鍵は「キュレーション」 (WIRED VISION)

【○年前の今日の記事】

ローカルニュース市場、まだまだ新聞紙に軍配? (2010年1月11日)
Twitter コミュニティと日本語版開発 (2008年1月11日)
今月のベスト広告 (2007年1月11日)

Comment(0)