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今月のベスト広告

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ということで、真に勝手ながら今月のベスト広告を決定させていただきました。僕が最近、最も心を動かされたのはこの広告:

別名、ハーゲンダッツ種。

この世に、ハーゲンダッツストロベリーでしか味わえないイチゴがある。
芯までまっ赤な果肉は、果汁がたっぷり含まれているので、繊細で壊れやすい。
それゆえ、流通が難しく、幻となったイチゴ。でもハーゲンダッツは、この品種にこだわった。
果肉から染みでるジュースが自然な色を醸すうえ、赤い果肉がごろんと入った姿は鮮烈。
そして何より、濃厚なクリームに埋もれないほど、イチゴの味が濃い。
太陽が育てたこの赤い宝石は、朝露が残っているうちに、ひと粒ずつ手で摘まれ、
ハーゲンダッツ ストロベリー へと生まれ変わる。
みずみずしさとクリーミーさを併せ持つ、こだわりの結晶。他の何にも似ていない。

近道しない主義。

読んでお分かりの通り、ハーゲンダッツの広告です。先日の朝日新聞に掲載されていたものなのですが、残念ながらネット上では見つからなかったので、コピーのみ全文引用させていただきました(実際には、これに写真が加えられています)。僕はこの広告を見て、というより「読んで」、すっかりハーゲンダッツストロベリーが食べたくなってしまいました。

最近、人々の話題になることを狙った「奇妙な」広告が増えていると思います。画像や映像、インタラクティブな仕組みをフル活用した広告は確かに面白いですし、WEB2.0の時代にはクチコミ効果を追うことは正しいのでしょう。しかしこのハーゲンダッツの広告は、奇をてらった部分はほとんどありません。おいしそうな写真が付いているものの、あくまでも補助的な役割で、魅力の全ては文章に込められています。

さらに言えば、この文章も特に天才的なコピーを使っているわけではありません。「赤い宝石」「こだわりの結晶」「近道しない主義」など狙いすました表現はありますが、基本にあるのはハーゲンダッツストロベリーのこだわりを、ストレートに表現するという姿勢です。「おいしいイチゴがあった」「おいしさゆえに流通が難しかった」「しかしアイスクリームとして製品化させた」というストーリーに、「ぜひ食べてみたい!」という気持ちにさせられてしまいました。

プロダクトが持つ根本的な価値を、シンプルなストーリーにして正面から訴える。そんな基本的な広告でも、まだまだ人を動かすことができるのではないでしょうか(むしろ奇抜な広告が跋扈する中では、新鮮に感じられるのかもしれません)。ブログと広告はまったく違うものですが、僕も文章を書く上で、その姿勢を学びたいと思わせられる広告でした。

< 追記 >

ということで、お昼にハーゲンダッツストロベリーを買ってきてしまいました。いや、このイチゴにそんな秘密があったとは。美味しさもひとしおです。

余談ですが、最近イチゴ味のお菓子って増えてますよね。イチゴ好きとしては嬉しいところですが、何か理由があるのでしょうか。

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