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英国:ニュースサイトにお金を払う意志があるのは全体の5%。しかし……

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お知らせです。ITmedia エンタープライズさんで、Twitter 定点観測記事を書かせていただきました。今回の対象は9月前半。大事件は少なかったものの、いくつか Twitter の将来を占う上で大切な出来事がありましたので、興味のある方はご覧いただければと思います:

Twitter定点観測:Twitterの未来を占う事件が起こった9月前半 (ITmedia エンタープライズ)

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さて、今日の本題ですが。最近、ニュース系サイトの有料化が話題になっていますが、一方で「有料化されれば読者離れが起きるだろう」という観測があることも事実です。英国での調査ですが、そんな観測を裏付ける結果が出ていました。しかし一部予想とは異なる結果もあるようです:

PCUK/Harris Poll: Only Five Percent Of Readers Would Pay For Online News (paidContent:UK)

paidContentUK と Harris Interactive が行った調査について。まずは「自分のお気に入りのニュースサイトが有料化されたらどうするか?」という質問に対し、こんな結果が出ています:

  • 別の無料サイトに移る 74%
  • 無料の見出しのみ利用する 8%
  • 料金を払って利用を続ける 5%
  • どうするか分からない 12%

とのことで、これは予想通り(?)お金を払ってまで読み続ける人は少ないという結果になっています。しかしちょっと意外なのは、世代別に結果を分けた場合。こちらはグラフの方が見やすいので、paidContent の画像をちょっと転載させていただきましょう:

pcuk-harris-poll-paid-content-reader-intentions-by-age-m

緑の棒が各世代での「購読を続ける」を示しているのですが……どの世代が最も料金を払う可能性が高いか、分かるでしょうか?そう、実は16歳~24歳という結果が出ています。新聞というシステムに慣れているはずの高齢者は、逆に料金を払う意志が低いという結果に。もちろん、高齢者なら紙の新聞も購読している=ウェブ版にまでお金を払う意志はないだけで、「新聞離れ」ではないという解釈が可能でしょう。しかしいずれにしても、有料版のニュースサイトをつくる場合には、英国では若者をターゲットにした方が成功する可能性が高そうだという結果になっています。

この調査、個人的には「お気に入りの(favourite)ニュースサイトが」という聞き方になっているのが1つのポイントかなと感じています。ネットをよく利用し、各種ニュースサイトをあれこれ比較している人々=若者の方が、「このサイトは使いやすい、信頼できる」というサイトを見つけているでしょう。で、そのサイトが有料化されたらどうするか。他のサイトをあれこれ回ってお目当ての情報を見つける手間暇と、お気に入りのサイトを使い続けるメリットを比べれば、多少のお金を払うことは仕方がない――そう判断する人が少なくないのではないでしょうか(主に紙媒体から情報を取るという人々なら、こういう判断には至らないでしょう)。もちろん、もっと簡単に「他に新聞・雑誌も購読してないし、ネットでお金を払うのは仕方ないか」と考えているという可能性もありますが。

いずれにしても、単に「有料サイトにお金を払おうとする人が少なくて困る」と嘆くのではなく、少しでもお金を払う可能性が高い人々はどこにいるか、を探してみるという姿勢が必要なのかもしれません。全てのニュースサイトが有料化に成功することはないにせよ、一部でスムーズに有料化できるサイトが当然存在するのではないでしょうか。

【○年前の今日の記事】

「想定外」の責任回避力 (2007年9月22日)
差別化するのは結果ではなく付加価値 (2006年9月22日)

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