【書評】"Twitter Power"
これだけ話題になっているのに?意外に少ないのが「Twitter解説本」。アマゾンで和書を検索しても、Twitterがメインの本は数冊しかヒットしません。一方海外では既に数多くの本が出版されており、Twitter 研究が進んでいる様子。そこでアマゾンの評価を参考に、一冊読んでみることにしました。それがこちら:
個人ユーザーに向けたものではなく、企業ユーザーを念頭に置いて「いかに Twitter をマーケティングに活用するか?」を解説した本です。従って基本的な使い方だけではなく、フォロワーの増やし方や、自社サイトへの呼び込み方などといった点が説明されています。と書くと「Twitter を金儲けに使うなんて」と顔をしかめる方がいらっしゃるかもしれませんが、騙すためのテクニック集というわけではなく、逆にそのような小手先の対応を批判する内容。ソーシャルメディアの活用例としても参考になる本でしょう。
それでは具体的に、どのような内容が語られているのか。これから Twitter 本を出すという方の参考になるように(笑)、少し長くなりますが目次(の訳)だけ書き出してみましょう。これだけでも、「Twitter を始めるにあたって何を考えなければいけないのか」を理解する手助けになるはず:
- 第1章 ソーシャルメディアの概要
- ソーシャルメディアとは何か
- ソーシャルメディアはなぜ重要か
- ソーシャルメディアの種類
- マイクロブログとは何か
- Twitter とは何か
- 第2章 なぜ Twitter は強力なのか
- Twitter、成功の履歴
- 「すぐにフィードバックが得られる」という力
- 専門家にいつでもアクセスできる Twitter
- 第3章 Twitter を始める
- サインアップする
- Twitter には誰がいる?
- 魅力的な Twitter プロフィールをつくる
- アイコン画像を選ぶ
- Twitter プロフィールページのデザインをする
- 背景画像をデザインする
- 適切な色を選ぶ
- お知らせ方法を選ぶ
- デバイス設定をする
- 最初の Tweet を投稿する
- 誰かをフォローする
- 第4章 フォロワーを増やす
- 重要なのは量か質か?どちらを重視するのか選ぶ
- 質:専門家のネットワークをつくる
- 量:クリティカル・マスに達する7つの方法
- Twitter ランクとページランク
- 第5章 Tweet の技術
- Tweet のエチケット
- まずは相手の Tweet を聞こう
- 会話への参加の仕方
- 面白いと思われるには
- 行動を起こさせるには
- 第6章 Twitter で顧客とつながる
- 問題を察知し、フィードバックを得る
- あなたの会社のファンを見つける
- ミニ・ヘルプデスクをつくる
- 第7章 社内で Twitter を活用する
- バーチャルチームのリーダーのための Twitter
- バーチャルチームの Twitter アカウントを設置する
- Twitter でチームをつくる
- 第8章 ブランド構築に Twitter を使う
- 物語をつくる
- ブランドイメージと Twitter プロフィールを一致させる
- スタイル:何をつぶやくか、どうつぶやくか
- コア・メッセージを強化する
- 繰り返す、繰り返す、繰り返す
- Tweet を書く
- 第9章 フォロワーに行動を起こさせる
- フォロワーをウェブサイトに導く
- ブログを売り込む
- 記事のアイデアを募集する
- ショッピングサイトに集める
- アフィリエイトリンクは貼れる?
- アカウントを登録してもらう
- 効果のモニタリング方法とテスト手法
- 数種類の Tweet の効果をモニタリグする
- Twitter 上のトレンドを利用する
- 第10章 Twitter.com を超えて――知っておくべきサードバーティーツール
- TweetLater
- Twitterific
- Twhirl
- Twitterfeed
- Twist
- Twellow
- TweetBeep
- TwitterCounter
- TweetDeck
- TwitThis
- TwitPwr.com
- 第11章 Twitter プラットフォーム上にソリューションをつくる
- Twitter は何を提供しているか
- APIを理解する
- データフィードを理解する
- モニタリング
- 「会話に参加する」だけが価値ではない
- プラットフォームとしての Twitter
- サマリー
- 第12章 法律上のリスク
- 名誉毀損
- プライバシー侵害
- 事業関係に対する干渉
- 過失
- 契約違反
- 商標権の侵害
- 著作権の侵害
- 第13章 まとめ:30日間の行動プラン
- 第14章 著名 Twitter ユーザー一覧
……とまあ、Twitter というシンプルなサービスでよくもここまで書けたものだと思うのですが、それだけ Twitter が深い世界になりつつあるということでしょう。特に注目なのは、Twitter 自体の説明が実質的に第2章から始められているという点。第1章はまるまるソーシャルメディアの解説に当てられており、なぜ Twitter というサービスが流行する土壌があるのか、という点が理解できるようになっています。またフォロワーを増やすにあたり「質か量か」という概念が登場している点にも注目でしょう。とにかくフォロワー集めてブロードキャスト、だけが Twitter マーケティングではないことを本書は示しています。
ただし本書には、いま重要になりつつある機能「ハッシュタグ」のことについて何も触れられていません。先日のエントリでも触れた通り、ハッシュタグはメッセージを拡散させる上で重要な機能であり、英国政府の Twitter ガイドラインでも言及があるほど。本書が出版されたのは今年2月ですから、半年で状況が変化しつつあるわけですね。その意味で、現在進行形で進化している Twitter の解説書を出すというのは非常に難しい作業なのかもしれません。
とはいえ、本書のテクニックではなく「ソーシャルメディアへのアプローチ方法」を学べれば、Twitter の進化だけでなく他のソーシャルメディア系サービスの流行にも対応できるはず。英語も併用ですので、興味のある方は読んでおいて損はない一冊だと思いますよ。
【○年前の今日の記事】
■ ブログのシェルフスペース (2006年8月4日)