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朝食にスープが飲みたいということで、お店で選んでいたら、こんな商品が目に入りました:

おお、美味しそうじゃないですか。それに(上の商品画像には出ていないのですが)パッケージには大きく

とれて3日以内の国産新鮮たまご使用

と書かれています(ちなみに「3」の数字が他より倍以上大きなフォントで表示されていました)。ふむふむ、それなら子供にも良いだろうということで、買って帰ってきた次第です。

しかし買ってきたものの、ふと疑問が頭をよぎりました。とれて3日以内の卵を使うことが、どれだけの価値を生んでいるのだろう?お店で並んでいる卵をみても、賞味期限・消費期限が今日から3日後というものはあまりありません(そもそもそんな卵は買ってもらえないから店に並べないのでしょうが、少なくとも平均的な卵はとれてから4~5日経過していても問題ないということでしょう)。日本卵業協会のホームページにも、

Q1 卵の賞味期限はどれくらいですか?
A:時期により異なりますが、夏期(7~9月)が採卵後17日以内、春秋期(4~6月、10~11月)が採卵後27日以内、冬季(12~3月)が採卵後61日以内とされています。実状はパック事業者と量販店、バイヤーの話し合いで決めておりパック後2週間(14日)程度を年間を通して賞味期限としている所が多いようです。日卵協ホームページ「表示とタマゴの安心」を参考にして下さい。

という記述があります。また新鮮なら新鮮なほど良いというものでもなく、イセデリカ株式会社のホームページでは、

Q:どの料理も新鮮な卵を使う方がおいしいの?

卵料理といったら、新鮮卵!なんて思っていませんか?実は卵料理をつくるときは、種類によって“新鮮な卵”と“日にちのたった卵”を使い分けることがポイントです。

まずよく食べる「目玉焼き」。これは採卵日に近ければ近いほうが、白身が盛り上がってプリプリ感が味わえます。 次に「ゆで卵」。新鮮なほうがおいしいと思われがちですが、少々日にちのたった卵の方が白身がプリプリッとし、殻も上手にむけます。ゆで卵の場合、新鮮な卵では殻の中にあるガスが抜けきらず、白身をボソボソした食感にしてしまうからです。

と、料理によって最適な鮮度が違ってくることが指摘されています。気になる病気は?という点についても、よほど古いものでなければ、熱処理することによってリスクは下げられるようです(当然ながら「火を通せば何でも食べて良い」という意味ではありませんのでご注意を)。

さらに穿った見方をすると、同業他社の類似製品でも「とれて3日以内」の卵が使われている可能性もあります。最近は「食の安全」に対する消費者の意識が高まっていますから、古い卵でも使ってしまえという欲求に駆られる業者はそれほど多くないでしょう。調べようがありませんが、もしかしたら「とれて3日間」は業界内ではそれほど特別な話ではないのに、改めてパッケージに表示してみただけという可能性もあります。

そうなると「とれて3日以内の新鮮たまご使用」というポイントは、別に改まって喧伝するほどのものでもないのかもしれません。もちろん消費期限の過ぎた卵を使うというのは論外ですが、「とれて3日」がどれだけスープに実体的な価値をもたらしているのか、されにそれがこの商品「だけ」が実現している価値なのかは明らかにされていません。しかし新鮮というのは一般的に価値のある要素であり、魅力を感じる消費者は(僕を含めて)多いでしょう。新有効成分○○配合、のような宣伝も重要ですが、時にはこんな隠れた価値・当たり前でことさら述べてこなかった価値を探して明示する、というのも重要なのでしょうね。

ということで、僕もタイトルで真似してみました。「MBAとブログに何の関係があるの?」「MBAホルダーのブロガーなんて山のようにいるじゃん!」とか考えてはいけません。「何となくいいかも」で思わずアクセスしてしまう、を狙えればいいのですから……って、最近は第2次MBAブームも去って「MBAが会社を滅ぼす」なんて言われるぐらいですから、逆に持っているのが恥ずかしい資格になりつつありますが。

……と、いろいろと御託を並べてしまいましたが、別にこの商品を批判したいわけではありませんのでお許し下さい。今朝食べてみましたが、お世辞抜きでとても美味しいスープでした(しかも1食28kcal ということで、メタボが気になる僕にもピッタリ)。今度はちゃんと指名買いしてくるつもりです。

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