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スイスのオレオレ詐欺

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「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」が問題になっている、と言うと「何を今さら」と言われてしまうかもしれませんが、実は今年の被害は過去最悪のペースで拡大しているのだとか。警察や金融機関で様々な対策を行っているものの、その裏をかく手口が進化しているようです。このオレオレ詐欺の流行、日本独自の現象かと思っていたら、遠く離れたスイスでも類似の犯罪が流行っているのだとか:

スイスでも「オレオレ詐欺」 (swissinfo.ch)

「こうした詐欺をスイスドイツ語圏では『孫だまし ( Enkeltrick ) 』と称している」そうで、ここ数年チューリヒなどのドイツ語圏で流行。約3,000万円をだまし取られたケースもあるのだとか。ただし日本のように振り込みを要求するのではなく、要求したお金を犯人自身が取りに来るのだそうですが、日本でもかつては犯人が直接お金の受け渡しに現れたそうですから、より実行しやすい「振り込め型」に進化している途中なのかもしれません。

ただ幸運なことに、チューリヒ市警察が予防キャンペーンを実施したおかげで高齢者の意識が高くなり、被害は少なくなってきたのだとか。もしかしたら、日本で起きたケースを情報提供することで、「進化」も未然に防ぐことができるかもしれません。

また逆に、チューリヒ市警察のキャンペーンが奏功しているのであれば、彼らの対策に学ぶことができる可能性もあるでしょう。そう考えると、世界中で起きている様々な犯罪およびその対策について情報共有できる仕組みがあれば、犯罪抑制に効果があるのではないでしょうか(もちろんテロなどの重大な犯罪については、既に各国の当局間で情報共有が行われているのでしょうが)。「オレオレ詐欺」だって類似事例があったのですし、同じくスイスでは「援助交際」まで問題になっているそうですから、ごくローカルなものに感じられる犯罪であっても世界に目を向けてみる価値はあると思います。

ただし、日本でも振り込め詐欺が流行したのは、マスコミの報道を見て「これならオレにもできる」と感じた犯罪者が多かったからという主張があります。そう考えると、中途半端に犯罪情報がネット等で共有されてしまっては、逆に世界中に模倣犯をつくる結果になってしまうかもしれません。いや、実はスイスのオレオレ詐欺犯も、日本の情報を得て実行に移したのだったりして……既に毒物や爆発物など、犯罪の道具に関する情報はネットで盛んに共有されている時代ですし、「手口」までも伝播する事態は何とか避けられると良いのですが。

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