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図書館では騒げない

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考えてみれば当たり前の話で、些細な事なのですが、久しぶりに「言われてみれば」という気持ちになったので少し。

日経MJの12月14日号(月曜が新聞休刊日なので、日曜に出ています)第9面「新発想で勝負」で、「ナムコが有料の大型娯楽施設内に図書館をオープンさせた」というニュースが報じられています。この大型娯楽施設とは、茨城県つくば市に開業した「ナムコランド イーアスつくば店」。下記の公式サイトをご覧頂ければ分かるように、確かに「エジソンの書斎」という図書館が併設されています:

ナムコランド イーアスつくば

ちなみに蔵書については、

子どもに読ませたい、子どもが読みたい本がズラリ!蔵書はなんと絵本2000冊、マンガ3500冊!これがなんと全部読み放題!!

中でも、絵本は、絵本出版社約100社による公認絵本ポータルサイト「絵本ナビ」の協力によりセレクトしています。またマンガについては、教育学研究や食文化研究、マンガ論などでも知られる国立大学法人筑波大学の谷川彰英理事・副学長の協力により定期的にテーマに沿ったお薦め作品を特集します。

とのことで、変な話ですが「子供だまし」ではないようです。実際、この図書館は好評を得ていて、アミューズメント施設には珍しい母子客を呼び込むことに成功しているのだとか。

なぜナムコが図書館を、しかも有料の娯楽施設内に設置したのか。その理由について、記事はこう解説しています:

育児中の主婦の悩みを調べると、最も多いのが自分の趣味の時間が取れないということだった。子どもの教育に関しては「どんな絵本を読ませるべきか分からない」「絵本の相場は八百-千二百円。何冊も買い与えるには高い」などの悩みのほか、「一般的な図書館には騒ぐ子どもを連れて行きにくい」という声もあった。そこで「親子で一緒に楽しめる『図書館』なら需要がある」(吉田さん)と考えた。

(中略)

時間制の料金としたため、コーナーに入場する時に従業員から入場券を受け取らなければならない。従業員のチェックを受けた人しか入れないスペースとなるため「誰でも出入りできる公園などと異なり、子どもを安全に遊ばせることができる」のも人気の秘密だ。

文中、「吉田さん」とあるのはナムコ店舗開発部の吉田和誠のこと。確かに古い図書館などに行くと、絵本コーナーと一般書籍コーナーが隣り合うように設置されていて、子供が大きい声を出さないように・読み聞かせの時に声が迷惑にならないように注意しなければなりません。また不審な人物が子供コーナーにいるのを目撃することもあり、そうなるとあまり長居しようという気分にはなりません。また絵本を読んでばかりでは何時間も過ごせないし、お腹が空いたり喉が渇いたりしたら飲食店に入りたくなる……

そんな理由から、よく考えたら自分自身、最近は絵本コーナーに椅子が用意されている大型書店に(娘を連れて)行っていることに気づきました。書店であればBGMが流れているので、普通の声で本を読んであげても迷惑にならないし(もちろん大きな声で騒いだりはしないですよ)、警備員がいるためか不審者を見かけることはまれ。飽きたら別のフロアにある飲食店に行くこともできます。ただし認められているとはいえ「立ち読み」であることには変わりないので、何時間も居座れないですし、本の取り扱いにも注意しなければいけません(何回かに1回「迷惑料」の気分で、娘が気に入った本を買ったりしています)。そんなわけで、ナムコの娯楽施設+図書館というアイデア、個人的には「まったくその通り!」と感じた次第でした。

もちろん図書館が子供を連れて行きづらい施設になっているからといって、文句を言うつもりはありません。そもそも図書館は静かに本を読んだり、読みたい本を見つけて借りていく施設なのですから、「大声で遊べるようにしろ!」「不審者が入らないようにチェックしろ!」「食事を出せ!」などと要求するのは論外でしょう。論外だからこそ「“図書館+アルファ”な施設があったら良いのに」という気持ちがあまり表面化せず、ナムコが気づくまで誰も手がける人がいなかったのではないでしょうか。

とはいえ「モンスター○○」なんて言葉が問題になっている時代ですから、これまで「あったらいいのに」程度に密かに感じられていたニーズが次々と現れて、新しいビジネスになっていったりして。それはそれで大変な世の中ですが、企画担当にとってはアイデアが見つけやすい環境と言える、のかも?

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