「情報は無料になる」の意外な影響?
情報は無料に、自由に手に入るようになる(Information wants to be free)――というのがネット時代のテーゼですが、それが意外なところに影響を与えている(かもしれない?)、というニュースがありました:
■ 「講義ノート屋」氷河期 京阪神の大学で「閉店」続出 (asahi.com)
きちんと大学の講義に出た人のノートを1、2万円で買い取り、その写しを1部数百円で売る。こんな学生相手の「講義ノート屋」に逆風が吹いている。学生の「まじめ化」やノートの質の低下が原因だ。大学の視線も厳しくなり、一部の繁盛店をのぞき、次々と倒れている。
とのこと。残念ながら僕の出た大学の周辺には、こんな有難い(?)お店は無かったのですが、「関西では数十年前から存在し、印刷会社などが営んでいた」そうです。ところがそんな歴史ある商売が、近年次々に姿を消しているのだとか。記事ではその理由として、上の引用部分にもある通り
- 学生がきちんと講義に出席して良い成績を狙うようになり、写しを買いたいという人が減った
- 質の悪いノートが増えて、売り物が無くなった
という2つの説を紹介しています。確かに最近、学生が勉強に力を入れるようになったという話を聞くことがありますが、それならば逆に「少しでも情報が欲しい!」と考えて他人のノートを買おうとする人がいてもいいはずです。また2番目の説は逆に学生の態度が悪くなったということになり、1番目の説とは矛盾するでしょう。どちらにしても、学生の性格の変化という点だけで「ノート屋」の消滅を説明するのは難しいのではないでしょうか。
で、冒頭の話に戻るのですが、個人的にはネットの影響もあるのではないかと思います。「学校裏サイト」が大きな問題となっているように、いまの学生・生徒たちにとって、学校とネットは密接に絡み合っています。「ケータイのサイトを通じて、見知らぬ人同士が勉強を教え合う」などというケースもあるそうですし、例えばブログやSNS、Wiki などを通じて、講義の情報を交換するというケースがあっても不思議ではありません(場合によっては、教授や講師自ら積極的に情報開示するという例もあるでしょう)。実際、上記の記事に対するはてなブックマークのコメントでは、「まとめサイトを作っていた」というような発言もありますし。
残念ながら僕の説には、はてブのコメント以外何の裏付けもないのですが……また仮に「講義裏サイト」のようなものが存在していたとしても、積極的に表に出ようとはしないはずですから、調査は難しいでしょう。ただネット時代の到来と、ノート屋の撤退が同時期に重なったというのは、何か象徴的な出来事ではないかなと感じた次第です。