なぜガソリンの値段は上がるのか?
なぜガソリンの値段は上がるのか。ここで期待している答えは、「世界中の投機マネーが原油取引に集中しているから」ではありません(もちろんそれが本当の理由なのでしょうが)。以前(こことかここ)からご紹介している本"Predictably Irrational"の関連ブログで、こんな面白い説明が挙げられていました:
■ Paying too much attention to the price of gasoline (Predictably / Irrational)
実はここで書かれている内容、「なぜガソリンの値段が上がるのか」ではなく、「なぜガソリンの値上がりだけが気になるのか」という理由になります(ひっかけてしまってごめんなさい)。とにかくポイントとなっている2つの解説をまとめてみると:
- ガソリンを入れている間(セルフのガソリンスタンドで、という限定を付ける必要がありますが)、やることといえばメーターをぼーっと眺めるぐらいだ。そのため、ガソリンの単価は記憶に残りやすい。
- またガソリンは、一度に何リットルも入れるものである。結果として払わなければならない金額は膨れあがり、記憶に残りやすい(仮にパンが一度に何斤も買うものだったら、ちょっとした値上がりが激しい反応を引き起こすのでは?)。
とのこと。その結果、実際以上に値上がりのインパクトを感じてしまい、「安いガソリンを買うために遠くのスタンドに出かけていく」「燃費が良いクルマに大枚をはたいて乗り換える」といった理不尽な行動を取る人が出てきている、と続けています(燃費が良いクルマに乗り換えるというのは、決して理不尽な行動ではないと思いますが)。
もちろんここで書かれていることには当てはまらないよ、という方も多いでしょうが、確かにガソリンには「特に値上がりを実感しやすい」要因があるのかもしれません。仮にガソリンが電気料金と同じように、月末に一括して使った分が請求される方式で購入するモノであったら、これほどは大きな問題として認識されなかったか可能性もあるでしょう(あくまでも認識されない、という話で、実際に大きな問題として家計にのしかかるかどうかは別問題として)。
最近はなんでも安価・無料になる時代ということで、値上げをすることはおろか、なかなか対価をいただけない世の中になっています。しかし上の話を逆に考えれば、工夫次第で値段が与える心理的インパクトを軽減できるかもしれない、ということですよね。そういえばつい先頃 iPhone の利用料金改正がありましたが、そのカラクリを「ずるい!」と言うだけでなく、見せ方の巧さを学ぶというのも良いかもしれません。