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付き合う相手を変えてみたら?という話。

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偶然でしょうが、雑誌『Pen』と『週刊ダイヤモンド』が最近、同じタイミングで航空業界特集を組んでいました。


ギリギリ「最近の若者」ではない僕は大の旅行好き。しかしまだ娘が小さいので、ハードな旅行にも出られず悶々とした日々を送っています。なのでどちらの雑誌も購入し、一時のカタルシスを味わってしまいました。特に『Pen』はいつものように美しい写真ばかりで、思わずフライト予約しそうになってしまうほど……。

……とウットリとした気分に浸らせてくれる『Pen』に対して、流石に『ダイヤモンド』は夢ばかり見させてくれません。日本の航空業界が競争力を失いつつある現状を突きつけてくるのですが、特に深刻に感じたのは空港の実態。どこかで聞いたような話ですが、規則や規制にがんじがらめにされている上に、採算が取れる見通しのない施設が日本国内にいくつも存在していることが指摘されています。

一方でこんな事例もあります。特集の冒頭、茨城空港の話が登場するのですが、彼らも「国内専用ターミナルとして使ってもらうことを考えていたが、JAL・ANAのいずれも定期国内便の就航を表明してくれない」という悩みを抱えていたとのこと(失礼かもしれませんが、あまり国内線需要も無さそうですから当然の話です)。そこで茨城空港が考えたのは、日本初の「格安航空専用ターミナル」(バジェットターミナル)という位置付けに転換し、アジアのLCC(低コスト航空)を呼び込もうという戦略。LCCに合わせた設備を安価で提供することで、都心からの距離という弱点をカバーできないかと考えているそうです。

LCCについてはご存知の方も多いでしょう。米国のサウスウェスト航空が代表例ですが、大手航空会社のビジネスモデルとは全く違ったやり方を展開し、世界各地でシェアを奪いつつあります。彼らに合わせた空港を作って使ってもらおうというのは、確かに優れたアイデアというか、当然の方向性だと思います。

しかしなぜ、この発想がもっと早く出てこなかったのか。アジア発のLCCとして有名な「エアアジアX」のCEO、アズラン・オスマン-ラニ氏がこう語っています:

多くの空港はフルサービスの航空会社との付き合い方に慣れているから、われわれの要望を聞いても、なかなかピンとこない。ゴールドコーストは理解してくれたから手を組んだ。いろいろな空港が就航の話を持ちかけてくれるが、長距離路線LCCの意味を理解してもらっていないことが多い。

要は同じようなお客様(航空会社)とばかり付き合っていたために、彼らの性格やニーズに合わせたビジネスしか考えられなくなっていたわけですね。LCCという発想が一般化してからまだ日が浅いですし、彼らのモデルはこれまでのやり方とは大きく異なりますから(興味のある方は、『ダイヤモンド』をお読み下さい)、その考え方を理解できなくても仕方ないことかもしれません。しかしそこを理解できるかどうかに生き残りの可能性がかかっているとなれば、「新しい発想について行けませんでした」では済まされないでしょう。

以前「最適すぎてもダメ」というエントリの中でも書きましたが、1つの成功モデル(空港の話で言えば、従来のように大手の航空会社に合わせた設備を整えること)を確立してしまうと、逆に時代や環境の変化に対応できなくなるものです。それを防ぐのはなかなか難しい話ですが、ビジネス上で付き合う相手を変えてみる・増やしてみるというのが1つの対策になるかもしれません。茨城空港が成功するかどうかはまだ分かりませんが、LCCという存在に注目したことで、新たなモデルが視野に入ってきたわけですよね。

自分で新しい可能性に気付けないなら、誰か他の人に気付かせてもらえば良い。そのためにも、付き合う相手は「あの人だけ!」と限定してしまうことはせずに、新しい存在とも積極的に付き合っていかなければいけないのでしょうね(あくまでもビジネス上での話ですが……)。

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