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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

最適すぎてもダメ

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何かで成功したり、何かを達成するためには、与えられた条件に適応する必要があります。例えば小売業なら「立地」という条件に、日本のプロスポーツ界なら「湿度」という条件に適応しなければなりません。しかし最適化を追求し過ぎても、困った状況になることがあるようです:

太古のウイルス防御があだ 人がHIV感染に弱い理由 (TOKYO Web)

後天性免疫不全症候群、いわゆる「エイズ」を引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染力がなぜ強いのか?を解説した記事。実は人類が約400万年前に流行していたウイルスに防御機構を特化させた結果、その後登場したHIVに感染しやすくなった……とする研究結果が発表されたそうです。ある条件(太古に流行したウィルス)に適応したために、新たに登場した条件(HIV)にうまく対応できていないわけですね。

なんだ進化の話か、と思われてしまうかもしれませんが、日常においても似たような話があるのではないでしょうか。かつて若者の間で大人気だったブランドが、あまりにも人気すぎて下の世代からそっぽを向かれてしまった。「ゲーマー」と呼ばれる人々にウケることを考えてゲーム機を開発していたら、もっと大きな市場である「普段ゲームをあまりしない人」にはウケない製品になってしまった。などなど、ある一方向だけを見ていたために環境の変化・別の環境に対応できなかったという事例には事欠かないと思います。

最近『強い会社は「周辺視野」が広い』という本を読んだのですが、この本では「いま自社がフォーカスしている部分以外にも気を配る能力」を「周辺視野」と呼び、それを強化するための方策を検討しています。ウィルスの例にたとえれば、いま大流行しているウィルスに対抗しつつも、次に流行しそうな新種を捉えて先回りして防御システムを用意するような力……と言えるでしょうか。ある1つの状況に(誰よりも深く)最適化するというだけでも大変なことですが、その次に現れる状況に機敏に対応できてこそ、「強い会社」たりえるというわけですね。

いま大成功している会社、絶好調の事業に関わっている方は、そうだからこそ「将来流行するウィルスに対応する力があるか」を確認してみる必要があるのではないでしょうか。少なくとも、いま成功しているやり方に社員全員をのめり込ませる、などということは避けるべきなのでしょう。

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