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「大人に携帯電話を持たせるな」

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以前のエントリでも簡単に触れましたが、政府の教育再生懇談会が「子供を有害情報から守る」という観点から、小中学生に携帯電話を持たせないことを提言する方針を固めたそうです:

「小中学生に携帯電話持たせるな」教育再生懇提言へ (asahi.com)

懇談会は16、17両日の会合で中間報告案を討議。携帯電話の有害情報対策としては、小中学生に携帯電話を持たせないことを原則としたうえで、業界に(1)通話と居場所確認機能に限定した小中学生向け携帯の開発を求める(2)閲覧制限の機能を付けることを法的に義務づける――との案を了承した。担当の山谷えり子首相補佐官は「持たせない、といっても強制はできない。懇談会からの教育的メッセージだ」と説明している。

ということで、「基本的に持たせない」「持たせるのなら機能が限定されたものを」と訴えています。提言には法的拘束力はないものの、今後議論を招くことは必至でしょう。

百歩譲って、小中学生は何の理性も判断力も持たない動物のような存在で、「危ない」と教えても有害情報にフラフラと近寄ってしまうものだとしましょう(そんな教育しかしてこなかった親や学校の責任は無いの?という点は置いておくとして)。そうだとすれば、確かに彼らに携帯電話を触らせるのは危険です。しかしハサミや包丁、ライターなどとは異なり、別に携帯電話自体に危険性が内包されているわけではありません。問題なのは、携帯電話を危険なものにしてしまう存在――危険情報の提供者がいるからです。

であれば、なぜ危険情報の提供者の方を取り締まろうとしないのでしょうか?仮に公園の遊具に刃物が仕掛けられるような事件が続発したとして、全国の公園に子供が立ち入ることを禁止するでしょうか?いや、携帯電話を通じて勉強を教え合うなどというケースもある現在では、「塾の先生が生徒に手を出す事件が多いので、全国の塾を閉鎖しましょう」と訴えているようなものではないでしょうか。

有害情報を理由に子供が携帯電話を持つことを禁止しましょうと言うのなら、僕はむしろ「大人は携帯電話の所持を原則禁止。持つなら通話機能と居場所確認機能に限定したものを」という案を考えるべきだと思います。そしてPCから携帯電話用のWEBサイトにアクセスすることも禁止。であれば、子供に有害情報が提供されることも無くなるはずです(どうやっても抜け道が出てくるだろ、と言われてしまうかもしれませんが、それは「子供に携帯電話を持たせることを禁止する」という案でも同じことでしょう)。

「携帯電話からWEBにアクセスできなくなったら困る」って?それは仕方ありません。ちょっと不便ですが、大人ならPCを買って、そこからネット接続しましょう。それに子供たちが事件に巻き込まれるのは子供の責任ではなく、大人たちの責任なのですから。

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