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ケータイソムリエがいらない世界こそ

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いよいよ「ケータイソムリエ」が具体化されるようです。総務省は今年1月、携帯電話の販売員を対象にした検定試験を後援する方針を発表していたのですが、その第1号が決まったとのこと:

総務省、MCPCの「ケータイ実務検定」を後援──ケータイソムリエ試験が始動 (ITmedia +D モバイル)

複雑化した料金プランや端末についての情報を、特定のキャリアに偏ることなく消費者に伝えられる販売員――いわゆる「ケータイソムリエ」を増やすため、総務省は資格認定制度を整備する方針を決めていました。で今回、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が主催する「ケータイ実務検定」が総務省のお墨付きを得た、という話。この検定は現時点で販売員として働いている人だけでなく、機器・ソフト開発に携る人物や、学生も受検することが可能で、今年11月に最初の試験が実施される予定とのこと。

携帯電話の分かりづらさについては、ずっと前から指摘されていることはご存知の通りです。特に料金プランについては、CM等で誤解を招くような表現が使われることもあり、分かりづらさは改善されないまま(携帯電話と同じように多種多様な端末があるPCやデジカメの世界では、「PCソムリエ」や「デジカメソムリエ」を作ろうなどという動きは起きていませんから、やはり料金プランの複雑さが「ソムリエ」的な存在が求められる大きな要因ではないでしょうか)。個人的にも「本当に自分にとってオトクなのは、どのキャリアのどのプランなのか誰か教えて!」ということがありますから、キャリアを横断する知識を持った販売員が増えることは歓迎したいと思います(現状でそういった方々がいない、とは決して思いませんが)。

しかし分かりやすく説明できる人がいれば問題解決、というわけには行かないでしょう。そういったソムリエがいない場所ではどうするの?という話にもなりますし、やはり根本的な解決策は、「各キャリアが分かりやすい料金プランを整備する」「各世代のニーズに応じた端末を発表する」といった方向性であるべきです。変な話、ケータイの複雑さを招いた張本人たちが結成している団体の試験に、どうしてお金と時間をかけてわざわざ参加しなければいけないのでしょうか?資格を持つ販売員の給料は当然上がるでしょうから、そのしわ寄せは消費者に行くこととなり、結局消費者は二重のコストを支払うことになる――そんな悲観的なことも考えてしまいます。

ワインの世界では、ソムリエに推薦してもらわないと知らない・飲まないような高級銘柄がある一方で、コンビニで並んで誰でも買えるようなワインもあります。ケータイソムリエが一般化したら、逆にソムリエがいなくても安心して選択できるような料金プラン/端末を整備したキャリアに人気が集まるかもしれません。あ、もちろん「iPhone」のように、誰もが知っている超高級銘柄(お酒で言えばドンペリとか?あ、これはワインじゃなかった)を作って指名買いされるようになることを目指す、という方向性もありますが。

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