ありがとう、ダンジョンズ&ドラゴンズ
「ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)」の共同制作者、Gary Gygax 氏が亡くなられました。69歳の若さだったそうです。心よりご冥福をお祈りします。
■ 「Dungeons & Dragons」のG・ガイギャックス氏、死去 (CNET Japan)
いささか感傷的になってしまうかもしれませんが、僕は中学生の頃にこのD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズの略称)にハマっていて、お小遣いをあらかたつぎ込んでいました。僕の人格形成に大きく影響している、といっても過言ではないでしょう。また僕に何かスキルと呼べるようなものがあるなら、D&Dの「ダンジョンマスター」を務めた経験から得たものが少なくないはずです。
D&Dは、現在ではテーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)という範疇に含まれるゲームです。コンピュータのRPGを、紙とエンピツ、サイコロで再現すると言えばイメージしやすいでしょうか(ただし僕にとって「RPG」と言えばまずTRPGのことなので、コンピュータのRPGの方を「C(コンピュータ)RPG」とでも呼びたい気分なのですが)。といっても基本セットに入っているのはゲームを進めるためのルールだけで、言うなればOSのようなものであり、遊ぶためにはシナリオ(ゲームのストーリー)を作らなければなりません(ただし「モジュール」と呼ばれる既成のシナリオを購入することも可能)。また誰かがゲームの進行役=ダンジョンマスターを務めなければなければならず、基本的には一人でプレイすることはできません。
と言うと、「なんでそんなモノが楽しいんだ?」と思われてしまうかもしれません。お前が子供の頃はビデオゲームのRPGが一般的でなかっただけで、いま子供だったらそんなにハマることはないだろう、と。確かにその可能性もあるのですが、個人的には、<ゲームの自由度>と<他のプレーヤーとのインタラクション>という点で、TRPGはゲーム機のRPGにはない魅力があると感じています。
前述の通り、D&Dに用意されているのはルールだけで、シナリオは自分で考えなければなりません。しかしこの「シナリオを考える」という行為の楽しいこと!僕の妄想の大爆発(?)をすべて受け止めてくれたのがこのD&Dでした。またルールは様々な行動をフォローしているので、極端な要求(敵の目をかわしたいので整形手術を受けたい、など)でもない限り、プレイヤーの反応に応えることができます。そしてこの点にも関係するのですが、プレイヤーが意外な反応を見せて()、それによってゲームが思いもかけない盛り上がりを見せる……ということが多々ありました。絶対無理、とまでは言わないものの、同じ楽しみ方をゲーム機で再現できるのはずっと先のことになるでしょう。
もちろん、ゲーム機のRPGの価値を否定するつもりはありません。しかしシナリオを自分で作るという楽しさ、プレーヤーの反応から物語が発展する楽しさを、多くの人々がTRPGを通じて経験してくれればいいなと感じています。これを機会に、というと不謹慎ですが、D&DならびにTRPGにもっと注目が集まって欲しいと思います。